第4回福岡市議会定例会 (9月8日〜16日)

 福岡市では、少子化現象の一方、交通綱の整備や住宅開発による児童生徒数の急激な増加などで、児童生徒数が地域によってアンバランスになっており、学校の規模が二極化しています。学校の規模に関わらず子どもは平等に教育を受ける権利を有していますが、このような学校規模の不均衡により、結果として子どもたちの教育環境にも不均衡が生じていることから、2009年、2010年と2度にわたり10月の決算特別委員会で壱岐東小学校における「小規模校の課題解決」について市営住宅整備の視点から質問してきました。今回は、児童数1000人を越える壱岐小学校の課題を指摘しながら、「大規模校の教育環境整備」について質問し、早急な対策を求めました。

(質問)
  福岡市学校規模適正化検討委員会の「福岡市立小学校・中学校の学校規模適正化に関する提言」を受けて、福岡市教育委員会は、学校規模適正化に向けてこの間、事業を進めてこられましたが、その進捗状況についてお尋ねします。
  まず、@小規模校、過大規模校はそれぞれ何校で、対象校に対してはその課題解決のために、この間どんな取り組みを行ってきたのか、お尋ねします。
  特に、児童数1000人を超える壱岐小学校区については、今後も児童数の減少は見込まれないと思いますが、A児童数の推計はどうなっているのか、B壱岐小が抱える探刻な教育課題を教育委員会はどのように捉えているのか、さらに、Cこの間、壱岐小の過大規模解消に向けどのように取り組んでこられたのか尋ねします。

[教育長]

  • @小規模校は、6学級以下の小学校11校、3学級以下の中学校1校、過大規模校は31学級以上の小学校4校を第1次計画としている。
     小規模校は、学校の統合、通学区域の変更、施設一体型小中連携教育など、過大規模校は、学校の分離、通学区域の変更、特別教室の増設などの手法から選択し、地域の実情に応じた取り組みを行っている。
  • A平成23年5月現在、32学級1,074人、今後6年間では、最大で平成25年度に33学級1,091人、6年後の平成29年度には31学級1,031人。
  • B体育館を使用できる体育の授業が制限されること等の授業の内容に制約や、休み時間の運動場の利用について安全面を考慮し学年で場所を分けて運動場を使用している等の課題がある。
  • C隣接する小学校との通学区域の変更を行うため、壱岐校区教育環境整備協議会を設置し、協議を行ったが、地域のコミュニティが分断されるなどの意見が出され、合意を得られていない。なお、平成20年度に普通教室を4教室増設し教育環境の整備を行った。

(質問)
  長年にわたって形成された地域コミュニティを再編する作業は、並大抵のもではありま
せん。この間、教育委員会においては、学校の統合や通学区域の変更等、学校規模の適正化に向けて、保譲者や地域と度重なる説明会や意見交換を行うなど、合意形成に向けて大変なご努力をいただいています。しかし、児童数1000人を超える壱岐小学校区については、通学区域の調整が困難で、児童数の推計から過大規模の状態が当面続くとの予測であるなら、壱岐小学校が抱える教育課題を解決する方策を早急に考えるべきです。
  この間、増築はされたものの教育環境としてはまだ多くの課題を残しています。
  昨年、今年と昼休みに子どもたちが運動場で遊ぶ光景を目にしてきましたが、所狭しと運動場で飛び回る子どもたちには危険な光景がいっぱいでした。運動会では、地域、保護者、祖父母など応援者を合わせて約4千人になると聞きますが、運動会の参観に行っても子どもの姿が見えないという苦情もお聞きしてきました。体育の授業では、同時間帯に2〜3クラスで使用するため、子どもの運動量も不足気味となり、また、天候不順で水泳や体育が中止になった時の体育の授業の振り替えが難しいなど、教育カリキュラムの編成にも支障をきたしています。1000人を超える児童が、体育の授業や遊びを満喫するには、運動場の東側に位置しているDプールを移設するなどして、運動場を早急に拡幅すべきと考えますが、ご所見をお伺いします。
  さらに、始業式・終業式や学習発表会などの学校行事での、体育館の狭さも深刻です。全児童が体育館に入ると、まさにすし詰め状態となり、教職員は子どもたちの健康への不安も訴えています。市民局では、壱岐公民館の移転整備を計画していると聞いていますが、E壱岐公民館の移転跡地を活用して、現在の狭隘な体育館の床面積を増床すぺきと考えま が、ご所見をお伺いします。

[教育長]

  • D運動場は狭隘であり、体育の授業や休み時間の使用等の課題がある。校地の北側に位置する拾六町団地の余剰地を活用する手法もあるが、耐用年数や事業費などの課題もあり、今後更に検討する。
  • E体育館は、学級数や児童数が多いため、授業使用時数に制限があることや全校集会時の状況等の課題がある。改築については、耐用年数や事業費などの課題もあり、今後更に検討する。

(質問)
  壱岐小学校は、市内でも1、2位を争う過大規模校ですが、児童数が多ければその分、特別支援教育のニーズも増えます。しかし、教室不足でその声に応えられず、支援学級を希望する児童は近隣校へ通っている現状があります。また、学力保障の取り組みも熱心に行われていますが、少人数指導を行う教室の不足や、過大規模校であるのに第2音楽室もないなど豊かな教育の創造にも支障をきたしています。さらに、課題を抱える子どもや保護者との懇談・相談を行う相談室もありません。また、音楽室や理科室、パソコンルーム、図書室、などの特別教室の使用調整に手間取り、毎週の学年会議の時間をそれだけに費やして本来の教材研究が後回しとなるなど、疲弊感を訴える教職員もおられました。そのためにも多目的教室の整備は重要不可欠と考えます。
  また、教職員は約60名と、50人を超えていますが、職員室などの管理諸室も面積不足で、労働安全衛生法に定める休憩室もありません。
  さらに、全校児童が運動する場所である体育館や運動場も極めて狭隘です。学校教育法では小学校設置基準に、児童数721人以上の学校の運動場の面積は、7200uと定めていますが、児童数1000人を超える壱岐小学校の運動場面積は5900uです。また、現在の体育館面積は697uですが、改築すれば930uとなります。
  ほかにも、南校舎の4階にトイレがない、教材教具の不足など、過大規模校である壱岐小学校が抱える教育課題は山積しています。全ての児童生徒に良好な教育環境を提供するのは教育委員会の責務です。施設整備には多額の予算を伴うことは承知していますが、早急な改善が必要と考えます。F壱岐小学校の教育環境整備に関して、多目的教室を含む体育館の建て替えとプールの移転を強く要望し、改めて教育長の姿勢をお尋ねします。

[教育長]

  • F壱岐小学校の過大規模の解消については、これまで通学区域の変更に取り組んだところであるが、地元の合意を得られていない。しかし、運動場や体育館が狭隘であることや、特別教室が不足等の課題がある。これらの過大の早期解消に向けて、学校規模適正化事業として鋭意検討する。