第5回福岡市議会定例会(12月13日〜21日)

 私は、社民・市政クラブ福岡市議団を代表し、第5回定例会に提案されました、
「2020年オリンピック競技大会及びパラリンピック競技大会の日本招致を支援する決議」案に反対し、討論を行います。

 本決議案は、「オリンピック競技大会及びパラリンピック競技大会を我が国で開催することは、国民に夢を与え、復旧・復興に向けた大きな力となり、大会開催を通じて復興した我が国の姿を発信することで、世界中から寄せられた支援に対して心からの感謝を示すことができる」として、オリンピック競技大会及びパラリンピック競技大会の日本への招致活動を支援するものです。

 2009年、東京都は2016年オリンピック及びパラリンピックの招致活動を行い、2回目の投票で破れましたが、それに要した総額は約150億円、うち100億円が公費、企業からの協賛金や募金が50億円で、10分間のプレゼンテーション映像に約5億円掛けたことで批判を受けました。今回の招致費用は、75億円に圧縮し、経費は協賛企業などの民間資金38億円、公費37億円と、民間資金が公費を上回ることとして、都議会主要各派の賛成を取り付けたと聞いています。2020年東京オリンピック・パラリンピック招致委員会などが試算する五輪招致の経済波及効果は、東京都だけで約1兆6,700億円、全国的には約2兆9,600億円になると公表されていますが、具体的な招致費用や開催費用がどのくらいになるのかはほとんど公開されていません。

 今年の開催地ロンドンでは、開催費用の約1兆1,400億円に対し、今後4年間の経済効果を約1兆6,000億円と見積もっていますが、一部メディアからは、すでにそれを疑問視する声も上がっています。2004年アテネ五輪開催後、財政危機となったギリシャを例に、開催費用が重しとなったとする声もあります。

 東日本大震災及び福島第一原発事故発生から1年9ヶ月が経ちましたが、今なお、32万人余りが避難・転居を余儀なくされ、仮設住宅など約13万6千戸で仮住まいが続いています。一日も早い被災地の復旧・復興は全国民の願いです。

 財政難の中で、国民負担で絞り出した、25年間に渡る復興増税などでまかなわれる復興財源については、東京の国立競技場の改修費用など被災地以外への流用が強い批判を浴びました。政府は、先月末、一部予算の執行を停止し、全国防災事業のうち、河川の津波対策や学校の耐震化は例外扱いとし、復興予算を被災地以外では原則として使わない方針を明らかにしましたが、2年目の冬を迎えた被災地では、復興格差が深刻化してきたとの声も聞かれています。生活を失った人たちからは「復興は進んでいない。お金は一体どこに使われているのか」と未だ切実な悲鳴があがっています。復興以前の、復旧も出来ていない地域も多数あり、被災者の生活を立て直すものになっていません。
オリンピック及びパラリンピックを招致することで、復旧・復興の促進につながるとする考えもありますが、招致名目で東京外環環状道路の再開発やアリーナ新設などの大型公共事業ではなく、人にこそお金を使うべきと考えます。

 オリンピック憲章には、「オリンピズムの目標は、スポーツを人類の調和のとれた発達に役立てることにあり、その目的は、人間の尊厳保持に重きを置く、平和な社会を推進することにある」また、「人種、宗教、政治、性別、その他の理由に基づく国や個人に対する差別はいかなる形であれ、オリンピック・ムーブメントに属することとは相容れない」という項目があり、スポーツ振興に加え、人権の尊重や平和な社会の推進を目的としたオリンピック競技大会及びパラリンピック競技大会については反対するものではありません。

 しかし、経済情勢が厳しい中で、災害復興がかなり長期化する事が予想される今、巨額を投じる日本へのオリンピック競技大会及びパラリンピック競技大会の招致活動は、時期尚早と考えることから、本決議案に反対するものです。

 以上で、社民・市政クラブ福岡市議団の反対討論を終わります。