第1回福岡市議会定例会(2月18日〜3月26日)

代表質疑発言要旨

○財政運営の基本姿勢について

  • 税財源の確保について
  • 市債残高の削減と財政の健全化

○平和行政の推進について

  • 博多港への軍艦戦の入港ついて
  • 福岡市内にある米軍基地の完全返還の実現について
  • 平和祈念資料室の設置について
  • 非核平和都市宣言について
  • 平和憲法について

○原子力安全協定の実効性と再生可能エネルギーのとりくみについて
・再生可能エネルギーのとりくみについて

○子ども施策について

  • 地域における子育て支援と子どもの権利擁護について
  • 保育行政について
  • 子どもの権利条例の策定について

○笑顔で暮らせる福祉都市づくりについて

  • 高齢者保健福祉対策の充実について
  • 障がい者福祉と障がい者差別禁止条例の策定について
  • 障がい者の雇用の拡大と支援策について

○子どもたちに豊かな学びを保障する取り組みについて

  • 少人数学級編成への取り組みについて
  • 特別支援教育への取り組みについて
  • いじめや不登校などの問題を抱える子どもの支援体制について

○ジェンダー平等社会について

  • 女性への暴力の根絶について
  • 男女共同参画推進のための諸施策について

○人権・同和行政の推進について

○七隈線延伸と住み良い街づくりについて

○中小企業の活性化対策について

○若者の就労支援について

○農業の振興について

 

2013年度予算議案・条例議案に対する討論

 私は、社民・市政クラブ福岡市議団を代表して、2013年第1回定例会に提案されました、条例議案、予算議案、一般議案のうち、議案第66号、議案第69号、議案第82号、議案第85号について反対の意を表し、討論を行います。

 我が会派は、福岡市が掲げるアジアに開かれた交流拠点都市の理念を踏まえ、憲法に掲げる恒久平和を堅持し、自由と民主主義、主権在民、人権の重要性を広く根付かせ、国際都市を目指す国際協調の理念構築に向け、何を改革し、どのように発展、創造させるかを真摯に検証し、市政発展のために会派一体となって参画してまいる決意です。

 我が会派は2013年度の予算編成に対して、暮らしの視点での予算編成及び重要施策要望を市長に提出し、その回答もいただいております。また、代表質疑では、市政全般の中から、要点を絞って質問してまいりました。さらに、分科会の審査及び条例予算特別委員会総会の過程において述べておりますので、ここでは、市政執行に際し、市長をはじめ、各理事者におかれましては、常に市民生活を念頭において、課題解決のために努力されますよう要望するものです。

 政府は、3月の月例経済報告で、景気は一部に弱さは残るものの、このところ持ち直しの動きがみられるとして、景気の基調判断を3ヶ月連続で上方修正しました。生産の拡大や雇用の改善に加え、設備投資に下げ止まりの動きが出てきたことを要因とし、「マインドの好転が、実体経済に少しずつ跳ね返ってきている」と分析しています。しかし、2013年度政府予算は、景気という名のビジネスに重点を置いた「人からコンクリート」「福祉から公共事業」の一方、生活保護費の削減や高校授業料無償化への所得制限導入、地方公務員給与削減を前提とした地方交付税交付金の削減など、国民生活関連の分野では、厳しく予算を減らすことが、相次いで打ち出されています。賃上げの動きは、一部の企業にとどまっており、このような家計の懐を厳しくする施策を強行する中で、生活関連物価の上昇が始まれば、国民生活が大打撃を受けることは必至です。長年の新自由主義政治によって、国民の生活と雇用が悪化し、地方が疲弊し、社会保障・福祉が後退し続けてきた中にあって、多くの国民は、景気回復の実感が持てていないのが実態です。今、必要なことは、消費税の増税ではなく、国民の可処分所得を増やし、消費を拡大し、中小企業や農業など、地域を支える経済基盤を強化し、年金・医療・介護など社会保障制度や雇用制度を、安心できる制度へ改革していくことです。

 議案第31号一般会計予算案について、反対はいたしませんが、具体的な事業について、数点意見・要望を申し述べます。

 福岡市において、政府の経済対策に伴う今年度2月補正予算と合わせた「14か月予算」では過去最大規模となりましたが、2013年一般会計当初予算は、前年度比0.9%減と5年ぶりの減額予算となりました。

 高島市長は、市政運営方針で、市民生活や将来の成長にとって真に必要な施策は積極的に事業化を進めることを明言し、2013年度は、特に、子育て支援や地域活性化を重視した「生活の質の向上」につながる事業に力を注ぐとしています。

 また、行財政運営に当たっては、新たな基本構想と基本計画に基づき、真に必要な施策や事業に重点化をはかりながら、行財政改革を進め、将来にわたり持続可能な市政運営に取り組まれることを宣言されています。さらに、社会保障費などの増加や老朽化した公共施設の維持経費などで来年度から4年間で851億円の財源不足が生じると試算し、これを補うための101項目からなる「財政健全化に向けた改革実行検討項目」を先の12月議会で示されました。検討項目には、市立幼稚園の廃園や、新設図書館分館の指定管理者制度の導入、高齢者や障がい者への個人給付の見直し、現業職員の退職者不補充など、市民の暮らしに直結する、市民サービス削減策が大変多く盛り込まれています。改革初年度である2013年度予算において、概ね200億円程度の効果ある取り組みを実施するとして、人件費の抑制及び組織のスリム化や学校給食公社委託料の見直しなどに加え、私立小中学校、朝鮮初級学校補助金の廃止、小規模作業所等から障がい福祉サービス事業所への移行促進による補助の縮小などを盛り込みましたが、子どもたちの教育権保障のための教育関連費や福祉の削減は見直すべきです。

 また、2013年度は、市立幼稚園の廃園や、婦人会館の廃止、新設図書館分館の指定管理者制度の導入、教育振興会貸付金のあり方などの検討が計画されています。自治体がやるべき任務を再認識し、市民サービスの削減にならないよう見直しの中止など慎重な論議をされることを要望します。

 議案第66号、議案第69号、議案第82号、議案第85号についてです。国家公務員給与が7.8%削減されたことを踏まえ、7月より地方公務員給与の臨時的削減が地財計画に反映されました。それに追い打ちをかけるかのような、市職員及び企業職員の給与に関する条例案には反対します。

 子ども・教育施策に関しては、我が会派が要望してまいりました、保育所の整備など待機児童解消を目指した取り組みや、えがお館の児童福祉司・児童心理司の増員、スールソーシャルワーカーの増員、特別支援教育支援員の増員、人権読本「ぬくもり」の改定などが実現しました。しかし、教育予算の占める割合が一般会計比6.1%と過去最低となっていることは、看過出来ることではありません。学校司書の増員については実現されず、配置年数が2年から1年間と短縮されたことについても大変遺憾です。国の学校図書館図書整備5か年計画の趣旨に沿った図書館教育の充実を図るために、学校司書の増員を要望します。また、福岡市の生活習慣、学習等定着度調査や国の全国学力・学習状況調査については、実施そのものに反対します。平均点にとらわれる結果、全国学力調査の対策として、過去問題などを使った事前練習が全国各地で発覚するなど、調査そのものへの信憑性がゆらいでいます。今なすべきは、学力の厳しい子どもへ寄り添った指導ができる少人数学級や少人数指導など教育環境の改善です。

 少人数学級の拡充については、5、6年生の一部教科担任制の継続にとどまっています。一人ひとりの子どもの実態に即した、豊かな学力保障実現のため、小中学校の全学年で少人数学級を実施することを要望します。さらに、昨今の経済状況のもと、子どもの生活の荒れやいじめ、不登校への早期対応などに、スクールソーシャルワーカーを求める現場の声は大きくなっています。2名の増員が図られましたがさらなる増員を求めるものです。新規事業である「いじめゼロプロジェクト」や地域との連携で行われる道徳教育の推進については、一部の子どもたちの取り組みや徳目教育に終わることなく、子ども主体のもと、すべての子どもの心に響く取り組みとなることを要望します。

 次に、男女共同参画社会の推進についてです。

 2009年内閣府の性別による固定的役割分担意識調査において、初めて「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきである」に対して「反対」が男女ともに5割を超えました。しかし、2012年調査では、固定的役割分担意識を肯定する人が5割を超え、加えて、若年女性、特に高校生の専業主婦志向が高まっていることが、指摘されています。その背景には、金融危機と震災以降、若者の就職率がかつてないほど低下し、正規雇用の道は狭く、派遣や非正規など雇用も不安定な状況になっていることなどがあるのではないかと推測します。特に、若年女性たちは、男女の賃金格差がある中で、働くことに不安や失望感を感じる一方、仕事と家庭生活の調和を実現するための職場の意識改革や子育て支援策がなかなか進まないことから、「結婚して家庭に入る」ことを選択しているのではないかと考えます。働く女性の支援策として、新規事業「働く女性のチャレンジ支援事業」や「女性活躍企業応援事業」については、大いに期待をするものです。併せて、若者の就労支援とともに、女性も男性も,すべての人が個性や能力を十分に発揮し活躍できるよう,性別による固定的な役割分担意識の解消に向けたあらゆる世代への意識啓発に取り組むことをさらに推進するよう要望します。そのためにも、ロールモデルともなる管理職への女性の登用促進はもちろんのこと、女性副市長の登用を進めるべきと考えます。

 「カワイイ区」事業につきましては、若者たちが置かれた現状を認識され、今年度限りで中止されることを要望します。市長は、常々、民間でできることは民間で、とおっしゃっておられます。市税を投入して行う事業とは思えません。これこそ民間に任せるべきです。

 最後に、人権・同和行政の推進についてです。

 同和行政については、本市において、これまでの同和対策事業の実施により、生活環境の改善などが図られたことを評価するものです。しかし、部落差別の本質とも言える教育及び就労の面では、いまだ地区外との格差は完全に解消されておらず、市民意識の面においても、福岡市では、一昨年から今年にかけて過去に例がない、大量の同和問題に関する差別落書きやインターネットを利用した差別的な書き込みなど、依然として悪質な差別事象が後を絶たない状況です。さらに、同和地区の問い合わせ等、同和問題に関する誤った認識がいまだに根強く残っています。また、部落差別のみならず、在日外国人を誹謗・中傷した差別落書きや張り紙などによる差別、福岡市の小中学校における障がい児ヘの「ガイジ」等の発言、さらには障がい者への差別、女性や子ども、高齢者への虐待など、多くの差別行為や人権侵害が起きています。同和問題をはじめ、女性・子ども・障がい者・そして在住外国人など、多くの人権問題に対し、積極的な取り組みを強化していく必要があります。そのような観点からも、人権侵害救済法の成立を急がなければなりません。

 以上、社民・市政クラブ福岡市議団の主な意見・要望を申し述べてまいりましたが、我が会派の代表質疑、補足質疑、総会質疑、更に分科会で申し述べた意見・要望に十分留意をされ、本年度もこれまでと同様、厳しい財政状況の中ですが、市長をはじめ、各理事者におかれましては、市政の執行に当たって市民の目線で推進されるよう強く要望するものです。

 最後に、本年度で退職を迎えられる職員の方、中央官庁へ戻られる職員の皆さまの本市への貢献に対し、改めて感謝申し上げるとともに、今後とも、健康に留意されご活躍されることを祈念し、社民・市政クラブ福岡市議団を代表しての討論を終わります。