第3回福岡市議会6月定例会(6月20日〜6月28日)

▼ 一般質問

●パワーハラスメントの防止について

 職場における「いじめ」や「嫌がらせ」などのパワーハラスメントは、社会的にも関心が高まっています。職場のパワーハラスメントについては、「業務上の指導との線引きが難しい」との指摘がある一方で、人格を傷つけられ、仕事への意欲や自信を失い、心の健康の悪化にもつながり、休職や退職に至るケースも出ています。これは、教育現場においても同様で、近年、教育現場からの相談内容に「パワハラ」が含まれることも少なくありませんでした。昨年、福岡県が「パワーハラスメントの防止についての指針」を策定し、それを受けて、県教育委員会は「パワーハラスメント防止の手引き」を作成したことから、福岡市においても「パワーハラスメントの防止」に向けた取り組みを求めました。
@福岡県は、2012年3月に「パワーハラスメントの防止についての指針」を策定し、それを受けて、県教育委員会は6月に「パワーハラスメント防止の手引き」を作成しました。その内容についてお尋ねします。

【教育長】パワーハラスメントの定義や、パワーハラスメントに該当するような行為、所属長などの責務、職員が留意すべきこと、指導時に留意すべきこと、相談窓口などとなっている。

Aそこでは、パワーハラスメントについて、どう定義づけをしているのか。

【教育長】職員に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」と定義されている。

B県の手引きは、福岡市の教職員に対してはどのように周知され、福岡市教育委員会においてどのように活用されているのか、併せて、学校現場ではどのように取り扱われたのか、昨年度の実態を尋ねる。

【教育長】各学校・園では、夏季休業中の服務倫理研修の中で、パワーハラスメントの事例検討を行うことになっているので、その際などに活用するよう送付している。
昨年度、研修は全ての学校・園で実施されているが、手引きをどう活用したかは把握していない。

C区切られた狭い空間である学校などは、パワーハラスメントが比較的起こりやすいと考えられるが、福岡市教育委員会における、パワーハラスメントの相談については、どこの窓口で、誰が行っているのか。

【教育長】通報や相談ができる「職員相談サポートライン」を設置し、職員課及び教職員課の職員のほか、担当の弁護士が対応に当たっている。

D相談をする場合、加害者から不当な報復や不利益な取り扱いを受けるのではないかという心配があるが、パワーハラスメントの相談等を受けた場合、どんな手順で問題解決をしていくのか。

【教育長】通報を受けた場合は調査を行い、必要があると認めるときは、パワーハラスメントを行った職員に対し、必要な措置を実施する。
 相談を受けた場合は、内容に応じて弁護士など関係機関の協力を得ながら、必要な助言を行う。
いずれの場合も、通報・相談者のプライバシーを十分尊重するとともに、不利益な取扱いを受けることがないようにする。

E福岡市教育委員会において、過去5年間のパワーハラスメントに関する相談件数は何件あったのか、それはどのような内容であったのか。

【教育長】「職員相談サポートライン」への相談は1件もない。

Fパワーハラスメントは、職員相互のコミュニケーション不足が原因となって起こる場合もあります。教職員の多忙化でコミュニケーション不足が指摘されていますが、どうお考えですか、ご所見を。

【教育長】校長・園長をはじめとする管理職が、機会あるごとに所属職員との意思疎通を図るとともに、職員間のコミュニケーションがとられているか、日頃から目配りをして、風通しの良い職場づくりに努めることも大切であると考える。

 コミュニケーションや信頼関係が築けていないことが、ハラスメントの発生に大きく関わっていると言えます。多忙化の中で教職員が会話をする余裕もない職場では大変危惧されます。この間、学校現場の多忙化解消策の一つとして、「子どもと向き合う時間の確保」として学校現場での超勤の縮減を要望してきましたが、さらにすすめていかれるよう、要望しておきます。

今回の質問をするにあたり、パワーハラスメントが起きた場合、どこに相談するかを教職員数人に尋ねてみたところ、教育委員会職員相談サポートラインを知っている人はほとんどいませんでした。
匿名で相談ができることや、相談や通報ができる内容が周知されていないことから、十分に機能を果たしているとは言い難い状況です。

G相談窓口の周知・啓発は大変重要と思いますが、今後どう進めていかれるのかお尋ねします。

【教育長】パワーハラスメントの相談窓口については、毎年、職員相談サポートラインの制度案内通知により、各学校・園に対して、担当職員や担当弁護士の連絡先を周知しているが、今後、パワーハラスメントに関する相談・通報の窓口であることがより明確になるよう、工夫したい。

 先ほど過去5年間のパワーハラスメントに関する相談件数をお尋ねしたところ、0件という信じがたい答弁をいただきました。この2年間でも、私の調べたところでは、多数のパワーハラスメントと思われる事象が起きています。中には、職場環境に悪影響を及ぼすだけでなく、働く意欲までも低下させている職員もいました。教育現場でのパワーハラスメントは、受けた本人に止まらず、子どもたちへの教育活動にも影響を及ぼすということです。

  パワーハラスメントは、上司から部下への「職務上の地位」を利用した言動だけでなく、人間関係や専門知識など相対的に優位な立場を利用した言動であれば該当します。例えば、後輩間や同僚間におけるいじめや嫌がらせ。ベテランの部下職員による上司への嫌がらせ、ベテラン教員の新規採用教員への嫌がらせ、正規教員の臨時教員への嫌がらせなどです。

 こういう事案がなぜ教育委員会のサポートラインへ相談として上がってこなかったのか、多くは、相談窓口を知らないということと、知っていても、相談後に報復など不利益を受けるのではないかという不安感があるということです。まして自ら相談をするということは、大変なエネルギーが必要となります。

 また、教育委員会へ相談をしない、相談をしにくい理由として、「職員相談サポートライン」が教職員課など教育委員会組織の内部相談機関であるという問題点を指摘しておきます。より実効性のある相談機関として、第三者相談機関設置の検討を要望しておきます。

 管理職は、職員を伸ばそうと鍛えているつもりでも、その職員は苦痛に感じていることも多々あります。労働安全衛生法第1条には「快適な職場環境の形成を促進することを目的とする」としており、この条文にはパワハラ・セクハラ防止も含まれると解釈されています。また第3条には、「所属長をはじめとする管理職員は、快適な職場環境の実現と労働条件の改善を通じて、職員の安全と健康を確保するようにしなければならない」、第5条には「職員がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする」とし、厚生労働省の解説では、「生命、身体等の安全」には「心身の健康」も含まれるとされています。つまり、パワハラ・セクハラによって具体的な暴力などの身体的危険がある場合だけでなく、心の健康に危険を及ぼす場合も対策を講じるべきであるということです。パワーハラスメントは、職員の心の健康を害すること、人権侵害であることは勿論ですが、メンタル不全で、仕事への意欲の低下し、職場全体の生産性にも悪影響を及ぼしかねません。

H所属長を始めとする管理監督者自らが、パワーハラスメントに対する正しい認識を持つことに加え、働きやすい職場環境とするためには、職場の実態把握をすべきと考えます。
市教委として、パワーハラスメントの防止については、今後どう進めていかれるのか、ご所見をお伺いします。

【教育長】パワーハラスメントは、職員の尊厳や人格を傷つけるだけでなく、職場環境を悪化させることから、職員一人ひとりが問題意識を持って、防止に向けた取組を行うことが重要であると考えている。
 教育委員会としては、相談窓口のさらなる周知を図るなど、教職員が相談しやすい環境づくりを行うとともに、今後、防止に向けたリーフレットを作成するなど、よりいっそう啓発を進めていく。

 財団法人 地方公務員安全衛生推進協会発行の「職場のハラスメント対策」には、「残念ながら現在の職場はハラスメントが起きやすい状況にあります。行財政改革による人員削減などで1人あたりの業務負担が増え、また、住民の目も厳しくなる中で、業務遂行や目標達成に日々追われるなど、心に余裕をもって職務を進めることが難しくなっています。心に余裕のない状態で働くと、イライラがつのり、そのはけ口としてハラスメントが行われても不思議ではありません」と公務員のハラスメントが起きる社会的背景について記述しています。福岡市役所でのパワーハラスメントの防止策も喫緊の課題と考えます。市職員の研修とともに、相談窓口の啓発はもちろんのことですが、今後、福岡市においても、パワーハラスメント防止のための指針の策定に向けた検討を進められることを要望しておきます。

●ひとり親家庭の支援、みなし寡婦制度について

 近年、格差社会や貧困が社会問題として大きく取り上げられる中で、子どもと貧困の関係にも注目が集まっています。

  2010年の厚生労働省「国民生活基礎調査の概況」で2009年の相対的貧困率が公表されました。貧困率は、全年齢層で16.0%、17歳以下の子どもで15.7%となり、過去最悪となってしまいました。約6人に1人の子ども、約300万人の子どもが「貧困」状況にあるということです。中でも、ひとり親世帯の相対的貧困率は50.8%と高い水準となっています。

  また、2012年7月5日発表の2011年国民生活基礎調査では、児童手当など年金以外の社会保障給付金などを含めても母子世帯の総所得は年間252.3万円で全世帯の47%、「児童のいる世帯」総所得の38%に過ぎません。賃金収入である稼働所得は、年間181.1万円で「児童のいる世帯」稼働所得の31%でしかありません。

  そのような中、6月19日、国会で「子どもの貧困対策の推進に関する法律」が全会一致で可決成立しました。法律の目的は、「子どもの将来が、生まれ育った環境によって左右されることのないよう、貧困の状況にある子どもが健やかに育成される環境を整備するとともに、教育の機会均等を図るため、子どもの貧困対策に関し、基本理念を定め、対策を総合的に推進すること」としています。

  子どもたちの健やかな育ちを保障するために貧困削減効果を高める施策は、喫緊の課題と考えます。

そこで、福岡市においては、2011(H23)年11月に「ひとり親家庭実態調査」を実施しましたが、

@福岡市のひとり親世帯数と、母子・父子それぞれの世帯数、併せてその出現率をお尋ねします。

【こども未来局長】「平成23年度ひとり親家庭実態調査結果」における世帯数及びその出現率は、推計で、ひとり親世帯数が22,747世帯で出現率3.15%、うち母子世帯数が19,970世帯、2.77%、
父子世帯数が2,777世帯、0.39%、となっていり。

また、一概にひとり親世帯といってもそこに至る背景は様々ですが、
Aひとり親世帯のうち、死別、生別、非婚の割合を、母子・父子世帯別にお尋ねします。

【こども未来局長】実態調査における本市の死別、生別、未婚の割合を、母子・父子世帯別では、母子家庭では、死別が8.0%、生別が91.5%、生別のうち未婚が7.9%。父子家庭では、死別が22.7%、生別が76.4%。なお、父子世帯への設問には「未婚」はない。

Bひとり親世帯のうち、未就学児の人数と、そのうち非婚の母子世帯の未就学児の人数をお尋ねします。

【こども未来局長】実態調査における本市のひとり親世帯未就学児の人数は、5,220人。
また、母子世帯のうち「未婚の母」世帯の未就学児の人数は391人と推計される。
(※参考4,960人×7.9%≒391人)

 実態調査や指標などから、ひとり親世帯等、大人一人で子どもを養育している家庭において、特に経済的に困窮しているという実態がうかがえますが、
Cひとり親家庭に対する支援としての制度にはどんなものがあるのか、

【こども未来局長】1)ひとり親家庭のみを対象としたもので、生活支援として、生活・法律相談事業、日常生活支援事業、ひとり親家庭等医療費助成制度、就業支援として、就業相談事業、自立支援給付金2事業、自立支援プログラム策定事業、 就業支援講習会事業、無料職業紹介事業
経済支援として、児童扶養手当、災害遺児手当がある。
2)母子家庭のみが利用可能なものとして、母子生活支援施設(母子寮)、母子寡婦福祉資金貸付金制度がある。
3)ひとり親家庭が優遇されるものとして、市営住宅の優先入居、保育所の優先入所、子どもショートステイ事業、就学援助がある。

Dそのうち、自治体でできることにはどんなものがあるのか。

【こども未来局長】実施の根拠が本市の条例・規則等にある、市営住宅の優先入居、保育所の優先入所、災害遺児手当などがある。

 ひとり親家庭等の生活の安定と児童の福祉の向上のために支給される児童扶養手当は、2010年8月1日より、父子家庭にも支給されるようになりました。
本市の「ひとり親家庭実態調査」の問い「生活費は主に何によってまかなわれていますか」に対して、母子家庭では、1986(昭和61)年調査以降増加傾向にあった「自分の仕事による収入」が、前回調査と比較すると3.1ポイント減少しているものの、73.2%と最も高くなっています。代わりに「生活保護」の項目が4.0ポイント上昇しており、昨今の経済状況の厳しさが表れています。さらに、従たる収入源を見ると、「児童扶養手当」が70.1%と最も高くなっています。このことからも児童扶養手当は、所得制限はあるもののひとり親家庭への経済支援に大きな位置を占めていることがわかります。
E本市における、児童扶養手当の受給者世帯数と、母子・父子世帯数、さらにそのうち非婚の母子・父子世帯数についてお尋ねします。

【こども未来局長】本市における児童扶養手当の受給者世帯数は、平成25年4月30日現在で15,122世帯となっている。そのうち、母子世帯は14,390世帯で、さらに未婚の母子世帯は1,431世帯となっており、父子世帯は643世帯で、さらに未婚の父子世帯は6世帯となっている。

 ひとり親世帯への支援として、年間35万円の税金控除が受けられるという、所得税法の定める「寡婦控除」があります。

 しかし、「寡婦」が法律婚を経由したことのある者と定義されていることから、夫と死別・離別した母子家庭にのみ適用され、その後、父子家庭も対象となりましたが、非婚の場合にはこの寡婦控除は適用されません。この寡婦控除規定により算出された所得が、所得税、市民税、公営住宅入居資格及び賃料、保育料などの算定のための基準とされている結果、非婚の世帯は、寡婦と比較すると多額の負担を余儀なくされています。そこで、

F年収200万円の世帯で、3歳児がいる非婚ひとり親世帯と寡婦控除が適用されているひとり親世帯の場合、保育料の差額はいくらになるのか、お尋ねします。

【こども未来局長】保育料については、年間19万6,800円の差額が生じると試算している。

G非婚ひとり親世帯に対して、保育料や市営住宅家賃について、すでに寡婦(夫)控除のみなし適用を行っている自治体をお尋ねします。

【こども未来局長】保育料の算定にあたり寡婦控除のみなし適用を行っている自治体は、政令市では、札幌市、千葉市、岡山市。
  市営住宅家賃算定における寡婦控除については、公営住宅法施行令により、「所得税法に基づき算定すること」とされているため、自治体が独自にみなし控除を行うことができる制度とはなっていない。したがって、市営住宅の家賃算定について、政令市でみなし適用を行っている自治体はない。なお、東京都八王子市において、市営住宅の家賃の差額を減免する施策を7月から実施予定と聞いている。

 本市のひとり親世帯数22,747世帯に対して、児童扶養手当受給者世帯数が15,122世帯ということは、66.5%が、母子家庭では19,970世帯に対して14,390世帯で実に72.1%が、父子家庭では2,777世帯に対して643世帯で23.2%の世帯が児童扶養手当を受給しています。特に、母子家庭での非婚が7.9%ということから推計すると、非婚世帯数は約1,578世帯となりそのうちの1,431世帯が児童扶養手当受給者世帯なので、なんと90.7%の世帯が受給していることになります。本市におけるひとり親世帯数は、前回調査である2006年と比較すると、母子家庭は1,210世帯増加しており、父子家庭は205世帯増加していることからも、児童扶養手当はますます重要な施策であると思われます。

  また、厚生労働省が行った2011年度全国母子世帯等調査の母子世帯の母の年間就労収入統計によると、死別母子家庭では、256万円、離婚母子家庭では176万円、非婚母子家庭では160万円と非婚の母子家庭が特に少ないことが分かります。貧困層の多い母子世帯の中でも困窮しているのが非婚母子家庭です。非婚母子世帯に寡婦控除が適用されないことによって、その経済的格差はより拡大することになります。

  去る6月3日、東京都八王子市は、不平等の緩和をめざし、婚姻歴のないひとり親にも寡婦控除が適用されたものとみなして課税額を算定し、市営住宅の家賃や保育料・幼稚園の費用を軽減する支援策を始めると発表しました。さらに、6月17日の琉球新報は、沖縄県が、6月16日までに、県営住宅の家賃減免の要綱を改正し、婚姻届を出さずに子どもを産んだ非婚の母子・父子世帯の家賃減額に関する規定を新たに設けた、と報じています。要綱改正に伴い、非婚世帯の所得を寡婦世帯と同様に寡婦控除を適用させて算定し、家賃を減額できるようにしたものです。

 先日14日、第4委員会において、「非婚母子世帯に寡婦控除をみなし適用し、市営住宅の家賃を他の母子世帯と同等に算定すること」という請願に対する審査が行われました。審議の中では、対象世帯は多くて12世帯、うち母子のみは4世帯であるとして、当局の「公営住宅法施行令において、市営住宅家賃の算定時の寡婦控除の対象は『所得税法に規定する寡婦』と明記されているため、適用できない」との答弁に対し、各議員からは「同じ母子家庭で不公平だ」、「子どもの育ちに影響するので何とかならないか」など前向きな発言もあったということですが、継続となりました。しかし、局長答弁で「6月に発表された八王子市の市営住宅への適用事例を参考に検討していきたい」という発言があったとの報告も受けています。

  本市においても、母子2人世帯が3DK家賃2万円程度の市営住宅に入居し、年間約260万円の給与を得た場合の家賃は、非婚母子世帯と寡婦控除を適用した母子世帯との差額が、月2,700円程度で、年間で3万円余りとなっています。

  寡婦控除が適用されないことで所得税額が増えるだけでなく、所得をもとに算出される住民税や国民健康保険料、保育料や公営住宅の賃料なども高くなってしまいます。

  年収200万円の世帯で、3歳児がいる非婚ひとり親世帯と寡婦控除が適用されているひとり親世帯の保育料の差額が年間19万6,800円ということですが、これに所得税17,500円、市県民税63,000円を加えると年額27万7,300円の負担増となり、給与収入の実に約14%を占めることになります。
このことは、日々の家庭生活に経済的不利益をもたらし、その母と生活する子どもの成長・発達する権利を侵害することになり、「非婚の母の子ども」に対する事実上の差別と言えます。「子どもの貧困対策の推進に関する法律」第8条で、「貧困対策に関する大綱として、教育の支援、生活の支援、保護者への就労支援、経済的支援などについて定める」としています。これに対して何らの措置もとらないことは、子どもの権利条約2条2項及び3条2項に反していると言えます。

  日弁連は、非婚の母は寡婦控除が適用されないことで公共料金算定などで「著しい不利益を受けている」と認め、母に「婚姻歴があるなし」によって非婚の母やその子が不利益を被ることは憲法14条や子どもの権利条約に違反すると断定し、差別を禁じた国際人権(自由権)規約26条にも反していると結論付けて、本年1月11日、国や東京都、沖縄県など6団体に対し、「非婚の母」に対し、「寡婦控除」をみなし適用することにより、非婚の母子世帯の経済的苦境を救済するよう適切な措置をとることを要望しています。さらに、税制改正が必要としつつも、まず自治体が、寡婦控除が適用されているとみなし、保育料などを減免する「みなし控除」を求めています。

  現在「みなし控除」で保育料の減免をしている自治体は、千葉市や岡山市、札幌市の政令市のほか、那覇市など沖縄県内の9都市、沼津市、松山市、高知市、高松市、朝霞市、三重県四日市など全国で十数市町が実施しています。人口の多い千葉市でも2011年度の対象者は27人と少なく、財政負担は計200万円です。この間、非婚のひとり親が声を上げづらい状況にあり、「みなし控除」は中々広がりませんでした。しかし、今、全国各地で非婚のひとり親が声を上げたことにより、「みなし寡婦控除」制度への要望と期待感が高まっています。

H国に対して、非婚の母子家庭等に対する不利益解消策を要望するとともに、本市においても、みなし寡婦控除制度など非婚の母子・父子家庭に対する経済支援が喫緊の課題と考えますが、市長のご所見をお伺いします。

非婚の母子家庭・父子家庭に対する支援につきましては、法律上の婚姻歴の有無により、保育料や市営住宅家賃について、取り扱いに差が生じていることは、改善されるべき点があると考えている。このため、母子福祉の観点から、非婚の母子家庭等に対する、みなし寡婦控除について、国に対して要望するとともに、他都市の状況などを参考に調査・検討を行っていく。