■ 平成24年度決算特別委員会 (10月4日〜22日)

○婦人会館について
 福岡市は、昨年「行財政改革プラン」を発表し、行政運営の効率化や行政サービスの見直しなど、各種補助金の廃止や公共施設の廃止などを上げ、その中に、婦人会館の廃止も上げています。婦人会館は、現在も女性団体を中心とした学習の拠点施設として必要とされていることから、婦人会館の存続を求める質問をしました。

@福岡市男女共同参画推進センター・アミカスの設立目的について尋ねる。

【市民局長】福岡市男女共同参画を推進する条例第25条及び福岡市男女共同参画推進センター条例第1条に規定されているとおり,福岡市が男女共同参画推進に関する施策を実施し,及び市民等による取組を支援するための拠点施設であり,男女共同参画社会の形成に寄与するために設置されたもの。

A過去3年間のアミカスの利用状況を、研修室、視聴覚室、和室、料理実習室別にお示しください。

【市民局長】
諸室毎の利用率(22年度,23年度,24年度)
研修室      73%,76%,79%
視聴覚室     67%,71%,75%
和室       68%,68%,67%

B利用者は年々微増傾向にあるが、アミカスの利用者、学習会への参加者の居住区の比率について、過去3年間のトータルでお知らせください。

【市民局長】指定管理者が行っている利用者アンケートの結果
過去3年間トータルの高い順に,
南区49%,市外16%,中央区11%,早良区7%,東区5%,城南区4%,博多区4%,
西区3%である。

C女性たちの学習の場としては、中央区舞鶴のあいれふ8、9階に婦人会館があるが、婦人会館の設立目的と事業内容について尋ねる。また、その所管はどこか。

【教育長】婦人会館は教育委員会の所管である。
  婦人会館の設立目的は、福岡市立婦人会館条例第1条に「婦人の文化と教養をたかめ、婦人の社会生活の向上に寄与する」と定めており、この目的を達成するため、会議室等の提供のほか、各種講座などを開催している。

D研修室の使用に当たっては、登録が必要だが、婦人会館の登録団体は何団体か。過去3年間でおしらせください。また、それらの団体は主にどんな活動をしていますか。

【教育長】婦人会館の登録団体数は、平成22年度610団体、23年度672団体、24年度714団体。
  活動内容としては、婦人問題に関する交流活動のほか、語学や子育てなどの学習活動、書道や料理などの生活・文化活動、職域団体による勉強会など、幅広く利用いただいている。

E過去3年間の研修室の利用状況について、午前・午後・夜間の時間帯でお示しください。

【教育長】平成22年度は、午前64.3%、午後80.3%、夜間48.9%。
平成23年度は、午前63.4%、午後81.6%、夜間47.5%、
平成24年度は、午前64.9%、午後81.7%、夜間47.0%。

F研修室の利用状況は、夜間は約50%弱だが、昼間は70%を超えており、その機能は十分果たしている。
そのような状況にあって、福岡市は、昨年10月に「行財政改革プラン(素案)」を発表し、、当初81項目にわたって行政運営の効率化や行政サービスの見直しなど、各種補助金の廃止や公共施設の廃止などを上げたが、その中に、婦人会館の廃止が上がっている。なぜ、婦人会館が廃止なのか、その経緯についてお示しください。

【教育長】婦人会館は「婦人の文化と教養をたかめ、婦人の社会生活の向上に寄与する」ことを目的に設置しているが、昭和51年の開設以来、社会状況が大きく変化し、婦人問題に関する活動を主に行う団体の利用が減り、学習サークルなどの利用が大多数を占めるという実態になっている。
 このため、廃止を含めた施設のあり方について抜本的な検討を行うこととなったものである。

 婦人会館は、1976年に設立されている。1976年といえば、平等、発展、平和を目標とした「国連婦人の10年」がスタートした年でもある。
  近年の日本における女性の地位は、明治民法によって設けられた封建的、家父長的な「家」制度のもと、妻は無能力者とされており、1947(昭和22)年の戦後民法によって「家」制度は廃止され、個人の尊厳と両性の本質的平等の原則のもと、妻の無能力制度も廃止となったが、長年にわたり社会的・文化的に形成された女性に対する差別や偏見は、根強く残った。一方、社会教育の中の婦人教育も戦後著しく発展し、生活課題に即した婦人学級や家庭教育に関する家庭教育学級、そして、婦人会館設立の1976年から、女性の能力・技術の提供を通してその人間性を高める学習の場としての婦人ボランティア育成講座などが開設されてきた。それは、固定的な性別役割分業に基づいた、婦人教育における母性の強調、家庭と結びついた生き方を奨励する施策など一貫した流れではあったが、「学習で得た知識や技術は、お互いの仲間づくりや趣味的なものにするだけでなく、福祉と結びついた教育をも考える必要がある。学んだものを社会に役立たせることこそ、社会教育の多面性であり、意義ある学習とすることができる」としてる。これが婦人会館の設立目的「女性の文化と教養、社会生活の向上」ということだと考える。
  開設から長期間経過する中で、社会状況の変化に加え、女性の意識改革も進み、男女共同参画社会の形成の促進などで、当初の設立目的が時代に会わなくなったという側面は、出てきて当然。むしろ、目的を時代に会ったものと変え、進化させ、男女共同参画社会の形成に寄与する施設としてさらに活用すべきと考える。

G現在、700余りの団体が登録し、様々な活動を行っていますが、婦人会館が廃止となった場合、その活動や活動場所についてはどうお考えか。

【教育長】現在の婦人会館は、幅広い層の、多くの市民の皆様に利用いただいている。このような実態を踏まえて、婦人会館が廃止となった場合でも、会議室等の貸し出しを継続できる方策を検討していく。

 アミカスの利用状況を尋ねたが、3年間の利用状況は7割を推移している。では3割の余裕があるかと言えばそうではなく、皆が使いたい時間帯は、希望が集中し奪い合いと聞く。その状況で、婦人会館での活動拠点を、アミカスに移動するということは全く無理なことだと考える。
  また、利用者の居住区についても、西区、博多区、城南区、東区、早良区の利用率が3%〜7%と一桁で、それらの区の多くの方々は、地下鉄やバスの利便性のいい婦人会館を利用していることが推測される。言い換えれば、南区、中央区以外の女性たちの多くは、婦人会館を必要としているということになる。
  現在、婦人会館の研修室の利用状況下において、一般的な会議室の貸し出しとなると、現在活動している団体が利用できなくなる状況が生み出される。活動場所が確保できないと、活動が停滞し、継続すらも危ぶまれる事態が生じるのではないか。本年4月〜5月にかけて、

Hパブリックコメントが行われたが、婦人会館の廃止については、何件の意見があり、それはどんな内容だったのか尋ねる。

【教育長】行財政改革プランについてのパブリックコメント手続きを、今年の4月から5月にかけて実施したが、婦人会館に関するご意見は、26件寄せられている。
  その主な内容は、「婦人会館は女性の地位向上等に重要な役割を果たしてきたことから存続すべき」というご意見のほか、「必要であれば名称を変更して老若男女が利用できる施設として発展的に存続してほしい」というご意見などである。

I利用団体等への説明や意見を聞く場は設けたのか。

【教育長】福岡女性団体交流会などの関係団体に対して、行財政改革プランにあげられた経緯や施設利用の現状について、説明させていただいき、意見をうかがっている。

J利用者からの意見や要望にはどんなものがあったのか。

【教育長】パブリックコメントと同様、存続を希望するご意見のほか、会議室等の貸し出しはぜひ続けてほしいという要望をいただいている。

Kまた、諸団体や個人などから婦人会館の存続を求める要望書が提出されていると聞くが、それは何団体、何人からのものか。

【教育長】婦人会館の存続を求める要望書につきましては、団体名義のもの74通、個人名義のもの1,227通をいただいている。

 現在もこれだけ多くの方々が、活動の拠点施設として利用しているさなかの廃止は、前代未聞、あってはならないことと考える。
 福岡市男女共同参画を推進する条例の施行から9年が経過したが、社会的・文化的につくられた性差、ジェンダー意識は、依然として家庭や地域社会に根付いている。
 婦人会館は、女性たちの生涯学習の場として先駆的な役割を果たしてきた。
 学習会やサークル活動を通して、女性たちのエンパワーメントの場としても大いに役割を果たしてきた。現在、男女共同参画社会の実現に向け、様々な市の施策の実施や市民の取り組みに対する支援などの拠点施設としてアミカスがあるが、当初の設立目的は異なっても、エンパワーメントした女性たちが女性の視点から地域社会に参画し、男女共同参画社会の実現に寄与してきた事実は否定できない。まだまだ女性たちへの学習や活動の場の提供は重要と考えることから、婦人会館の存続を強く求めておく。最後に、

L福岡市における社会教育の推進を今後、どう図っていかれようとするのか、高島市長の所見を尋ねる。

【市長】福岡市は、市民がさまざまな学習を通じて、自律的に、豊かに生きていける社会の実現を目指している。学習の成果が、市民の共有の財産としてまちづくりや地域の課題解決に生かされるよう、市民の主体的な学習活動を支援するための条件整備を進めてまいる。

 

○「デートDV防止」について

 本年6月26日、神奈川県逗子市や長崎県西海市で発生したストーカー殺人事件などをきっかけに、改正ストーカー規制法と改正DV防止法が成立しました。ストーカー規制法では、嫌がる相手に電子メールを繰り返し送信する行為を「つきまとい行為」に加えました。DV防止法は、同居する交際相手からの暴力「デートDV」も対象とし、接近禁止などの保護命令を裁判所に申し立てることが可能となった。改正ストーカー規制法は10月に、DV防止法は来年1月に施行される。
 内閣府の2011年の調査では、DVを一度でも受けたことがある人は、女性33%、男性18%、10代〜20代の頃に交際相手からDV(デートDV)を受けた人は、女性14%、男性6%に上っている。中・高等学校段階から、対等な関係づくりや男女平等教育が重要であることを指摘し、デートDVの予防教育が少しでも早く子どもたちのもとへ発信されることを願って、男女平等教育副読本へ教材を盛り込むことや、啓発ハンドブックやリーフの作成を要望した。

@本市における過去3年間のDV関連事業の決算額を尋ねる。

【市民局長】平成22年度は9,977千円、平成23年度は5,353千円、平成24年度は5,456千円となっている。

ADV相談の窓口は、配偶者暴力相談支援センターとアミカス、各区保健福祉センターにあるが、それぞれの相談対応時間を尋ねる。

【市民局長】配偶者暴力相談支援センターは月・水・木・金の10時〜17時及び火の10時〜20時、男女共同参画推進センターアミカスでは、水・木の10時〜16時にDV相談ダイヤルを実施、そのほか、総合相談においてもDV相談を受けている。

相談時間については、かねてから要望の夜を含め深夜の対応を求めておく。

B本市における、過去3年間のDV相談件数を各窓口ごとに尋ねる。

【市民局長】平成22年度は、配偶者暴力相談支援センター(12月開設)が102件、アミカス相談室が1,159件、区保健福祉センターが2,567件で合計3,828件、
平成23年度は、配偶者暴力相談支援センターが296件、アミカス相談室が1,167件、区保健福祉センターが2,379件で合計3,842件、
平成24年度は、配偶者暴力相談支援センターが352件、アミカス相談室が1,097件、区保健福祉センターが3,016件で合計4,465件となっている。

C本市においても、相談件数が毎年増加しているが、そのうち、一時保護など緊急避難を利用した件数は何件か。

【市民局長】22年度は74件、23年度は57件、24年度は73件である。

 今、DVは配偶者間だけでなく、若い世代の恋人間でも多く起こっていることが明らかになっている。今回、法改正の対象となったのは、「同居する交際相手」ですが、10〜20代の若いカップルの間で起きる暴力のことも「デートDV」と呼び、深刻な問題となっている。「デートDV」は、親密な関係になったとたんに、身体的、精神的、性的な暴力によって相手を一方的に支配し、相手が怖くてイヤといえないような、不平等な関係をつくることから、学校教育において、男女の平等意識や対等な関係づくりを考える学習が必要と考える。

D対等な関係づくりのための男女平等教育の2012年度の実施状況を、小・中・高・特別支援学校ごとに尋ねる。また、男女平等教育副読本の活用状況も併せて尋ねる。

【教育長】男女平等教育の実施状況は,以下のとおりである。
平成24年度,小学校145校(100.0%),中学校54校(78.3%),高等学校4校(100.0%),特別支援学校4校(50.0%)である。・市民局男女共同参画課作成の男女平等教育に関する小学校用副読本「はらっぱ」,および中学校用副読本「わたしらしく生きる」の活用率は,平成24年度,小学校136校(93.8%),中学校23校(33.8%),特別支援学校初等部1校(12.5%),特別支援学校中等部1校(12.5%)が実施している。

 対等な関係とはどういう関係か、相手を尊重するとはどういうことか、異性や同性間の人間関係で大切なことを中学・高校の頃に考える機会を持つことはきわめて重要。人間関係において、対等な関係づくりとは、力と支配の関係性に気づく学習ということ。このことは、いじめの問題にも通じる学習と言える。中学校での男女平等教育のなお一層の働きかけを強く要望する。
  児童生徒に人権の視点で、男女平等教育を指導する、教職員の意識変革や授業力のスキルアップには、教職員研修は重要と考えるが、

E性同一性障がいや同性愛など多様な性(LGBT)を含む男女平等教育の教職員研修の実施状況について、小・中・高、特別支援学校別に尋ねる。

【教育長】毎年8月に「男女平等教育研修会」を,全校・園から担当者1名を対象に市民局男女平等参画課と共催で行っている。内容は,大学教授など学識経験者の講話,および学校での副読本を活用した実践発表である。
・本年度は,性同一性障がいの問題に関して,全教職員を対象とした「全市人権教育研修会」,および「人権教育担当者研修会」,「性教育担当者研修会」で研修を行っている。
・各校内研修での男女平等教育研修の実施状況については,平成24年度では延べ,小学校188回,中学校106回,高等学校4回,特別支援学校5回実施している。

F交際中の相手を暴力などで威圧したり、精神的、経済的に追いつめる言動や行動による中高生のデートDVの相談などの実態は把握しているか。こども未来局と教育委員会に尋ねる。

【こども未来局長】こども未来局においては、中高生のデートDVの相談の実態は把握していない。
【教育長】教育委員会においては,これまでデートDVに関わる事故報告はない。

 婦人相談所一時保護所調査では、「10代利用者は少ないものの、早い時期から困難に遭遇していることから、その状況を把握することは重要である」としている。
 交際経験の浅い若者は、絶えず一緒の行動や、頻繁な連絡は「好きで特別な相手なら当然」と考えがちで、束縛したり束縛されることが「愛情の深さ」と捉えている若者も少なくない。その結果として、暴言や人格否定、交友関係の制限だけでなく、特に携帯電話を使った暴力では、メールの即返強要、携帯の通信チェック、気に入らない人のデータ消去、GPS機能での監視などの行為にいたるケースもある。DVは、「力で相手を思うように支配する行為」である。デートDVであっても、その中身は夫婦間のDVと変わらず、被害者の自己肯定感を奪い、自信や安全を失わせる。
 強制や束縛の認識がないまま関係が続けば、望まない妊娠、生活設計のないままの若すぎる結婚、若年で子どもを抱えての離婚など、ひいては児童虐待にも発展しかねない、と多くの専門家たちは指摘している。デートDVを学ぶことは、生徒たちにとって大変重要と考える。
 平成20年度いわてデートDV意識啓発事業推進委員会では、中学生の「デートDV」の予防啓発のためのプログラム開発と手引書作成のために、基礎的なデータを得ることを目的として、中学生を対象とした意識と実態調査を行っている。また、長崎県では、2004年度から高校や大学、そして2010年からは中学校に「デートDV」の出前授業を実施した際にアンケート調査をしている。

G本市においても、その実態を調査する必要があると考えるが、所見を伺う。

【こども未来局長】市立高校4校で「デートDV防止教育講演会」を実施しており、講演会の前後に生徒を対象にデートDVの理解度に関するアンケートを行っている。
【教育長】教育委員会においては,各中学校で実施している教育相談アンケートに,デートDVに関する項目を入れるなど周知をはかり実態把握に努めたい。

H市立高校4校で「デートDV防止教育講演会」を実施しているが、対象学年と講師などその実施方法と、生徒たちの反応について尋ねる。

【教育長】1年生または2年生を対象にデートDV防止に精通している講師によるデートDV防止教育講演会を行っている。
講演会の前後に行っているアンケートの平成24年度の結果では、96%の生徒が講演の内容を「理解できた」と回答している。暴力に対する意識については、「大声で怒鳴ることを暴力と思う」と答えた生徒が授業前は52%であったものが、授業後は95%に増えるなど生徒の理解が深まったという結果が出ている。

長崎県では、NPOと行政、教職員との連携で、デートDV予防教育に取り組んで10年を迎える。「子どもたちがデートDVについて学ぶためには、教職員の意識や知識の向上が必要。予防教育を学校内で行うことで、生徒からのデートDV相談への対応、DV家庭で育つ生徒への支援、関係機関との連携による問題解決など多くのことが期待できる」、としている。

I教職員の研修においても、デートDV予防教育の教職員研修が必要と考えるが、所見を伺う。

【教育長】高校や中学校の状況を踏まえながらデートDV予防も視野に入れた男女平等教育研修を充実させていきたい。

J多くの学校で実践するためには、教材が必要。男女平等教育についても、多様な性を含む「ジェンダー平等教育」と名称を改め、副読本についてもLGBTやデートDVの内容を盛り込む必要があると考えるが、所見を伺う。

【教育長】現在,「男女平等教育」という名称は,福岡市男女共同参画基本計画(第2次)を踏まえて,使用している。
【市民局長】男女平等教育における副読本については,次に改訂を行う際に,指摘の課題等の内容を盛り込むことについて,教育委員会と協議しながら検討していく。

 中学校用副読本「わたしらしく生きる」は数度に渡り再編集されているが、新しい課題を加えるなど内容の見直しを早急に行うことを要望しておく。また、「男女平等教育」という名称についても、多様なセクシュアリティの観点から再考する時期にあると申し上げておく。
  子どもたちは、性役割について、家庭・学校・テレビ・雑誌を含むメディアから、矛盾し混乱させるようなメッセージを受け取っている。2012年10月の内閣府の調査では、「夫は外で働き、妻は家庭を守るべき」に賛成という性別役割分業意識が、前回調査では半数以下だったものが、今回は、半数を上回った。この性別役割意識が子どもたちに刷り込まれていくなかで、恋人や交際相手に「尽くす」ことや、彼の前では「女らしく」振る舞うことなど、少女たちはごく当たり前のこととして、性別役割分業規範を内面化することになる。そしてその関係性が、いつしか力と支配の関係へと変化していった事例を多く見てきた。

K教材と合わせ、どんなことがデートDVなのか、デートDVの相談窓口の記載など、10〜20代の若者たちが手に取れる、デートDV防止の啓発ハンドブックや名刺型カードなども必要と考えるが、所見を伺う。

【こども未来局長】平成24年度に、デートDV防止啓発ポスターを作成し、市内中学校、高校、専門学校、大学に配布した。今後とも、効果的な啓発方法を検討していきたい。

 第2次行動計画には、「配偶者等からの暴力、セクシュアル・ハラスメント、性犯罪などあらゆる暴力が根絶され、男女が性別による差別的な取り扱いを受けないなど、真に男女の人権が尊重される社会をめざします」とあり、「暴力防止に向けた意識啓発として「高校生等の若者層に向けた、デートDVに関する教育啓発」とある。しかし、行われているのは高校生のみ。DV防止のためには、早い時期からの対等な関係づくりの教育が重要。暴力は、叩く、蹴るなどの身体暴力だけでなく、無視する、大声で怒鳴る、大事なものを壊す、勝手に体にさわるなど受けている本人が「つらい」と感じることも暴力であること、「つらい」と感じる付き合いは対等な関係ではないことなどを、子どもたちへ気づかせることが大事である。「力と支配」の関係性について学ぶことは、いじめの問題にも通じる。「力と支配」の関係に気づいたときどんな付き合い方をすればいいのか、どうすればいいのかなど、長崎県や盛岡市が作成しているような教育プログラムの作成を求めておく。

LDV防止のためには、男女問わず、ジェンダー平等社会の実現が大切だと考える。今後、どう取り組まれるのか、市長及び教育長の所見を伺う。

【教育長】学校教育の段階からDV予防教育の推進を図ることは,大変重要である。教職員の意識向上を図るための研修を充実させることと,道徳の時間などにおける教材の工夫を通して,よりよい男女の関係を築いていくために,男女平等教育をより一層推進していく。
【市長】福岡市が目指す「ユニバーサル都市・福岡」の実現のためには,すべての人の人権が尊重されなければならない。DVを防止するため,福岡市男女共同参画を推進する条例及び第2次男女共同参画基本計画に基づき,男女が性別による差別的取扱いを受けることのない,男女平等意識が浸透した社会づくりを進めている。
  今後も,男女共同参画社会の実現に向けて,全庁横断的に諸施策を推進していく。