■第1回福岡市議会定例会(2014年2月17日〜3月25日)
2014年度予算特別委員会 総会質疑
「療育を必要とする障がい児保育」、「地域における男女共同参画の推進」及び「障がい者施策と介護保険優先問題」以上3点について質問しました。
1.「療育を必要とする、障がい児保育」について。
障がい児保育は、1974(S49)年、当時の厚生省が「障がい児保育事業」として開始し、福岡市においても1983(S58)年に、10ヶ所の特定保育園で開始、2002(H14)年度より市内の全保育所・保育園で実施されています。1979年に特別支援学校が義務化になる前は、学校教育法第18条「就学猶予・免除」の規定で、多くの障がい児が教育を受ける権利を奪われていました。1960年代後半から1970年代前半にかけ、障がい児の不就学をなくす教育権保障運動が全国各地で広がり、この運動が、就学前の障がい児保育・療育に対しても大きな影響力となりました。
それまでは、働く保護者の子どもが障がい児の場合、保護者の多くは、療育施設通園や家庭内保育のために、働き続けることをあきらめざるを得ない状況でした。しかし、障がい児保育の普及は、保護者の就労支援は勿論、障がい児の保育を受ける権利を保障するとともに、障がい乳幼児の養育を在宅で母親任せにすることなく、保育、福祉、療育を総合的に保障することにつながっていったと考えます。また、通常の保育施設で共に生活するこの保育は、決して障がいのある子のためにのみ行われるのではなく、障がいのない子にとっても共に育つ統合保育として、計り知れない意義を持っていると考えます。
そこで、
@障がい児保育に係る過去3年間の予算額と2011(H23)年度、2012(H24)年度の決算額及び、2014年度の予算額とその事業内容についてお尋ねします。
A保育士の加配の基準についてお尋ねします。
B保育士の加配人数や勤務時間等は、どうなっていますか。
C
障がい児保育対象児童の2010(H22)年度以降の人数を、障がい程度別にお示しください。
D保育所・保育園に通う児童で、療育が必要な児童にはどんな支援をしていますか。
障がい児保育の専門家を持たない園では、療育を考慮した保育・技術支援が求められるが、
E保護者や保育園の相談体制、及び2012年度と2013年度の実績をお示しください。
障がいがあってもなくても、共に育ち合う保育を充実させるためにも、療育に対する専門的対応を今後より一層強化するよう要望しておきます。
障がいをもつ子どもの成長はゆっくりとした発達です。年齢が上がるに連れ、ゆっくりとした発達であるがゆえに、そのことが障がいの程度を重くし、保育園に馴染んでいた子どもが、突如として「集団保育に馴染まない」と判定されることがあります。子どもの状態が重度化したわけでもなく、年齢が上がっただけでです。
そこで、
F公的保育を必要とする児童が、「集団保育になじまない」と判定されたことによって、保護者が仕事をやめざるを得なかったケースがありますか。
障がい児保育で見落とせないことは、障がい児を含む仲間づくりです。障がい児と周りの子どもたちとの日々の園生活での何気ない関わり合いは、人権意識の寛容や仲間づくりといった民主的な集団づくりに大きく寄与しています。可能な限り、保育所・保育園での統合保育を望みます。
G日常生活における基本的動作の指導や、集団生活への適応のための訓練を行う、障がい児の通園療育施設である、児童発達支援センターの設置数と通園形態についてお尋ねします。
仕事を持っている保護者にとっては、療育施設に通園する日は休みを取らざるを得ない状況となります。さらに、「集団保育に馴染まない」として、保育園に通えない子どもの保護者にとっては、仕事を辞めざるを得ない状況となり、キャリアとしてこれまで築き上げてきた経験や実績が不意になる事態も予測されます。
集団保育に受け入れられない障がい児がいる就労家庭に対して、ライフスタイルを変えずに、子どもを育てながら働き続けられる環境の整備が必要だと考えます。
そのためにも、
H児童発達支援センターに、保育所機能を持たせることが喫緊の課題と考えますがご所見をお伺いします。
I市長は、2014年度の当初予算案の特色として、「女性の活躍支援」を上げておられます。女性が出産・子育て等により仕事を辞めることなく働き続けるためには、多様な働き方の実現とともに保育園の待機児童の解消が喫緊の課題となっています。保育所の整備はもとより、療育が必要な障がいのある子どもの保護者の就労支援のために公的保育が保障されるべきと考えますが、市長の決意の程をお伺いします。
2.地域における男女共同参画の推進について
「福岡市男女共同参画を推進する条例」が施行されて10年が経過しますが、現在、2012年3月に策定された第2次「福岡市男女共同参画基本計画」に基づき、目標達成に向けた男女共同参画推進の様々な取り組みが進められています。そこで、
@過去3年間の男女共同参画に係る予算と、2011(H23)年度、2012(H24)年度の決算額及び、2014年度の予算額についてお知らせください。
A地域で男女共同参画を推進するために、これまでどんな取り組みが行われてきたのかお知らせください。
校区の男女共同参画推進組織を中心に進められてきた男女共同参画推進活動は、自治協議会制度の創設に伴い、自治協議会の事業として実施されることになったことで、地域の方々に今日的課題として受け止められ、本市の男女共同参画の推進に、大きな役割を果たしてきたと確信しています。男女共同参画がさらに広く市民に浸透していくには、もっとも身近な暮らしの場である地域における啓発活動が重要であることが、第2次基本計画の現状と課題としても明記されています。条例においても「自治組織の役割」及び市が行う「自治組織への支援」が定められています。そこで、
B地域の取り組みの支援として、市はどのようなことを行っているのか。また、2014年度には、男女共同参画の推進に向けてどのような取り組みをされるのか、お知らせください。
C「福岡市男女共同参画を推進する条例」が施行されて10年が経過しましたが、10年前である2004年度と2013年度の地域における諸団体の長などへの女性の参画率の平均と、自治協議会等会長及び公民館館長の女性の参画率をお知らせください。
自治協議会会長と公民館館長は、若干の成果が見られますが、諸団体の長等への平均で見た場合の女性の参画状況は、10年を経過したにもかかわらず、約2ポイントも落ちています。
2013年度のその他団体の参画率を見ても、子どもにかかわる青少年育成連合会は25.0%ですが子ども会育成連合会は43.3%と女性の参画状況はグッと高くなるものの、RTA会長となると小中学校ともに5.5%,5.8%です。日常のPTA活動は女性委員が担うが会長は男性という構図は、なかなか改善されていませんが、
D「福岡市男女共同参画年次報告書」(平成24年度事業実績)にみる、福岡市男女共同参画基本計画(第2次)、基本目標6「地域において男女が共に支えあい、安心して暮らせる社会を目指します」の評価はどうなっていますか。
福岡市「平成20年度市政に関する意識調査」では、「地域における団体のリーダーに女性が少ない理由」について、最も多いのが「これまでの慣習で、リーダーには男性が就任してきたから」となっており、次いで「女性は家事や仕事で忙しいから」、「意見を集約し組織をまとめることは、女性には向いていないから」など、依然として、固定的性別役割分担意識が根強いことが分かります。また、「女性は責任のある役を引き受けたがらないから」に見られるように、リーダーとしての場や経験の少なさからくる自信のなさにも課題が見られます。地域において、女性の参画を促すためには、
E地域リーダーに求められるスキルの向上のための学習会など、地域リーダーの育成が必要と考えますが、どう進められるのかお示しください。
F自治協議会が行う「まちづくり基本事項」6分野10項目に男女共同参画がありますが、その成果と課題についてお知らせください。
自治協議会の事業として、全校区で行われた成果については、地域全体に広がりつつある校区がある一方で、まだ道半ばの自治体もあるということですが、そのような状況の中で、
G市民局より「地域コミュニティとの共働のあり方・最適化の検討について」案が示されています。その中で、超高齢社会の到来に備え、自治協議会が行う「まちづくり基本事業」に「高齢者に関する事業」を追加するとともに、地域の実情に応じた取り組みをより一層推進できるよう、「まちづくり基本事業」で実施する事業は、自治協議会が自ら選択して決定できるようにするという見直しが、提案されています。校区によっては、男女共同参画が以前のように校区内の一団体組織となり、自治協議会事業から消えるのではないかという懸念の声が上がっていますが、この間、地域や市民団体等からはどんな意見が出されていますか。
H校区で行われている男女共同参画の活動費はどの補助金で交付されていますか。
I「地域コミュニティとの共働のあり方・最適化の検討」における「まちづくり基本事業」の見直しについて、今後のスケジュールについてお尋ねします。
J東日本大震災でも明らかとなったように、災害時や避難所運営での男女共同参画の視点が重要視されています。地域における男女共同参画をどう進められようとしているのか、副市長のご所見をお伺います。
3. 「障がい者施策と介護保険優先問題」について
2011年に障害者基本法が改正され、2013年6月には障がい者に平等の機会を保障し、差別を禁止・解消することを目的とする障害者差別解消法が成立しました。そして、障がい者の人権に対する国内環境が整ったとして、本年1月、日本は障害者権利条約を批准するなど、この間、障がい者の権利保障は大きく変わりつつあります。そこで、
@在宅の障がい者が利用できる障害者総合支援法に基づく施策にはどんな施策があるかお尋ねします。
A障がい者が65歳になったとたんに、障がい福祉サービスから介護保険サービスの適用を受けることになりますが、その根拠は何ですか。
B障がい者が65歳になったとたんに従来と同様の支援が受けられなくなって、今までの生活に支障が生じるようなことがあってはならないと考えますが、ご所見をお伺いします。
C介護保険サービスには相当するものがない、障がい福祉サービス固有のものと認められるサービスとはどんなサービスですか。
D「介護保険法に基づき、障がい福祉サービスに相当するサービスを利用できるときは、それらの介護保険サービスを優先することが規定されている」、との事ですが、障がい福祉サービスに相当する介護保険サービスとは、具体的にどんなサービスがありますか。
E重度訪問介護とは、「日常生活全般に常時の支援を要する重度の肢体不自由者に対して、比較的長時間にわたり、日常生活に生じる様々な介護の事態に対応するための見守り等の支援とともに、食事や排せつ等の身体介護、調理や洗濯等の家事援助、コミュニケーション支援や家電製品等の操作等の援助、及び外出時における移動中の介護が、総合的かつ断続的に提供されるような支援」です。さらに、重度訪問介護従業者の1日あたりの人件費及び事業所に係る経費を勘案し、8時間を区切りとする単価設定としています。このように、長時間の見守り支援が重度訪問介護という施策類型の本質的特長です。しかし、介護保険法の訪問介護は、30分等を1単位とする短時間介護制度です。重度訪問介護の制度の趣旨からすれば、介護保険の訪問介護は重なるところはなく、障がい福祉サービス固有の施策と考えられますが、ご所見をお伺いします。
長年、障がい福祉サービスの生活介護事業所に通所しているAさんは、障がい程度区分4の知的障がい者です。今年の65歳になられます。昨年、区役所での障がい福祉サービスの更新の際に、「来年の誕生日の3ヶ月前までに介護保険の要介護認定を受けてください。障がい福祉サービスの「生活介護」ではなく、介護保険の「通所介護(ディサービス)」を受けてもらうことになります。と言われました。ご家族は、「知的障がい者は、介護保険の通所介護には馴染まないのではないか」と伝えましたが、区の担当者からは「国の方針だから」と言われ、「どうしても馴染まないときは、相談に来てください」と言われたものの、たぶん相談には行けないだろうなと思ったということです。Aさんは、毎日喜んで障がい福祉の生活介護事業所に通っているだけに、通えなくなると大きなショックを受けるのではないかと、ご家族は不安を抱えておられます。
また、生きがいを持って生活介護事業所に通所している、Aさんご本人の意思はまったく尊重されないことになります。これは、「障がいのある人が安心して地域で暮らせるように」という福岡市の障がい者福祉の理念に逆行しているのではないかと思います。
Fそこでお尋ねしますが、障がい福祉サービスの「生活介護」は、介護保険サービスの「通所介護」に相当し、Aさんは65歳から通所介護に通うことになるのでしょうか。ご所見をお伺いします。
H24年3月30日付の厚労省課長通知「障害者自立支援法に基づく自立支援給付と介護保険制度との適応関係等について」では、「一律に当該介護保険サービスを優先的に利用するものとはしない」とあり、介護保険サービスの利用が困難な場合や、通所介護など、介護保険に同じようなサービスがあっても、障がい者の特性によっては、介護保険のサービスが馴染まないサービスなどがあり、障がい者の実態をよく把握して支援内容を判断するよう求めています。しかし、これは、馴染まない理由がないとダメだと言っていることにもなります。機械的に通所介護に切り替えることなく、通い慣れた生活介護事業所の利用が可能となるよう、具体的な利用意向を一人ひとり把握されることを強く要望しておきます。
G1月22日の西日本新聞によれば、北九州市や久留米市、佐賀市、熊本市は厚労省通知に沿って、要介護度は不問、その人の状況から判断しているということです。介護保険の枠内の介助では不十分な障がい者に対し、国は、市町村の判断で障がい者向け福祉サービスの上乗せを認めていますが、福岡市の対応はどうなっていますか。
障害者総合福祉法の解釈基準である骨格提言は、次のように提言しています。
─「障害者総合福祉法は、障がい者が等しく基本的人権を享有する個人として、障がいの種別と程度に関わりなく、日常生活及び社会生活において、障がい者のニーズに基づく必要な支援を保障するものであり介護保険法とはおのずと法の目的や性格を異にするものである。この違いを踏まえ、それぞれが別個の法体系として制度設計されるべきである」
さらに、「介護保険対象年齢になった後でも、従来から受けていた支援を原則として継続して受けることができるものとする。障害者自立支援法は、介護保険と障害者福祉の統合を予定して策定され、(中略)その結果、障がい者の人間としての尊厳を深く傷つけることとなり、この反省から政府は、障害者自立支援法の廃止と新たな総合的な福祉法制の実施を約束し、憲法等に基づく障がい者の基本的人権の行使を支援するものとして新たな総合的な福祉法制を策定することになった」
また、「こうした経過から、訴訟団との基本合意文書では「新たな福祉制度の構築に当たっては、現行の介護保険制度との統合を前提とはせず」とされている。
(前略)なお、障がい者が介護保険対象年齢となった後であっても、それまでの障がい者の地域生活の継続が保障されなければならない。(後略)現行の介護保険優先原則を見直し、障がい者総合福祉法のサービスと介護保険のサービスを選択・併用できるようにすることも視野に含め、今後さらに検討を進めることが期待される」
と提言しています。これは、政府の専門委員の提言です。骨格提言の内容にそった政策の遂行が国レベルは勿論ですが、地方自治体においても貫徹されるべきであると、強く申し上げておきます。
H障がい福祉サービスの支給決定の判断基準となる障がい程度区分が、4月から支援区分に変更されるということですが、何がどう変わるのかお知らせください。
Bさんは、妹さんとの二人暮らしです。今年で65歳になります。障がい程度区分は4で、障がい年金65,000円弱ということで、障がい福祉サービスで家事援助などのホームヘルプサービス事業・行動援護事業や地域生活支援事業の移動支援など、無料でサービス提供を受けています。だから、妹さんは土・日・祭日、夜も遅くまで働き、生活を支えることができています。しかし、Bさんが65歳になったとたん、在宅者は、年金は変わらないのに介護保険料を支払い、居宅介護サービスが1割負担になる上に、サービス料が減ることで仕事にも支障が出ると、不安を抱えています。
今、その時に備えて、生活を切り詰めながらやっているそうです。妹さんは、65歳の「介護保険優先原則」について、「実態を分かる人がいない。なぜなら、当事者が高齢になると、多くの親は亡くなっているか、親自身の高齢問題で高齢障がい者の多くは入所していく。知的障がい者は本人が思いをうまく言えない。親亡き後の施策が、入所かケアホームに集中してしまい、兄弟が関わっているケースが余りに少ないために、65歳問題が大きな声にならなかったのでは」などと嘆いておられました。そこで、在宅の高齢障がい者の同居者の状況など、「障がいがある人の高齢化に向けてのケアのあり方」について、実態調査をする必要があると考えますが、ご所見をお伺いします。
I「介護保険優先原則」で、高齢となった障がい者は、地域で安心して暮らすことさえ脅かされています。障害者総合支援法第7条にある介護保険優先条項を削除するよう、国に求めるべきと考えますがご所見をお伺いします。
障害者総合福祉法の解釈基準である骨格提言の内容に沿った政策を、本市で周知・貫徹することは可能だと考えます。
J「介護保険優先原則」の廃止がすぐには実現できないという現実のなかで、障がいがある人が安心して地域で暮らせるように、福岡市として、64歳までと同等の障がい福祉サービスが、受けられるための施策として、指定障がい福祉サービス事業所への通所や、サービスの上乗せ基準を要介護度不問とし、個々のニーズに沿った障がい福祉サービスの適用を行うなど、福岡市独自施策を行うべきと考えますが、市長のご所見をお伺いします。
K【高島市長】
福岡市では,法令及び厚生労働省の通知等に従い,介護保険によるサービス提供を優先した上で,必要と認められる障がい福祉サービスを上乗せして併給している。
平成26年4月から,障害者総合支援法施行に伴う制度改正により,障がい福祉サービスの支給決定の判断基準となっている「障害程度区分」が,障がい者の多様な特性についてより適切に反映される「障害支援区分」に変更される。
この改正を踏まえて,平成26年4月からの実施に向けて,上乗せ基準の見直しを検討しているところであり,障がい者の個々の実態を十分に把握し,そのニーズに対応できるよう努める。
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