第5回福岡市議会定例会(12月15日〜24日)

一般質問

「留守家庭子ども会事業の充実」について

 留守家庭子ども会については、夏休みなどの長期休業中の開設時間について、8時30分を8時に望む声が多くの保護者から上がっていました。しかし、福岡市は、指導員の勤務時間が、1週間27.5時間、1日5.5時間であることから、前半・後半の引き継ぎ時間が取れないことを理由に、見直しを行なおうとしませんでした。そこで、私は、嘱託職員の27.5時間に何の法的根拠もないことを確認し、15分の勤務時間の延長で、30分の引き継ぎ時間も可能になることを提案。さらに、子ども・子育て支援新制度の移行で、留守家庭子ども会が「全児童対策事業」としての放課後等の遊び場づくり事業、(福岡市はわいわい広場)と一体とする自治体もあることから、我が会派が1966年当時、いわゆるかぎっ子対策として提唱し、以来48年間、働く保護者の子育て支援と子どもたちの放課後の安全、安心な生活の場として、続けられてきている留守家庭子ども会事業を福岡市の直営としてしっかり守っていくべきであることを確認しました。

 昨今における経済や社会情勢の著しい変化の中、共働き家庭やひとり親家庭の増加に伴い、留守家庭子ども会の果たす役割は重要性を増しています。さらに、子育てと仕事の両立支援策が緊急の課題であり、本制度の充実がより一層求められている中にあって、

@」2015年4月、本格施行となる「子ども・子育て支援新制度」に基づき、パブリックコメントを経て、「福岡市放課後児童健全育成事業の設備及び運営の基準を定める条例」が9月議会で成立しました。福岡市留守家庭子ども会事業も、来年4月から新制度に移行する予定ですが、確認の意味でお尋ねします。これまでの制度とどこが変わるのか、お示しください。

(答弁)放課後児童健全育成事業である留守家庭子ども会の運営等については,従来から,施設整備など国のガイドラインに沿って対応してきたが,ご指摘のとおり,子ども・子育て支援新制度において厚生労働省令で定められた基準を踏まえ,基準として条例化したもの。主な変更点として,職員に関し,資格要件に社会福祉士や中学,高校の教員免許を有する者の追加など。

A留守家庭子ども会事業に従事する職員の名称が、指導員から支援員に代わりますが、業務内容に変化はあるのですか。

(答弁)条例上,事業者は放課後児童支援員を置く旨が規定され,資格要件や研修受講など質の向上が担保されているが,留守家庭子ども会指導員としての業務内容に特段の変化はない。

B支援の単位を構成する児童の人数は何人ですか。また、1単位あたりの職員の配置基準は何人ですか。

(答弁)1つの支援単位を構成する児童数はおおむね40人以下で,支援単位ごとに2人以上配置することとされ,そのうち,少なくとも1人は支援員を,その他は補助員を配置することとされている。

C新制度への移行に向けて、現場の声を聴くために「留守家庭子ども会事業あり方研究会」が設置されていると聞きますが、その構成メンバーと、これまで何回開催されたのか、また、そこではどんな意見・要望が出されたのかお尋ねします。

(答弁)新制度への移行を円滑に進めるため設置し,指導員10人と事務担当職員で構成。平成26年9月以降,3回開催した。主な議論として「新制度に向けた職員配置のあり方」「長期休業期間中の開設時間前倒し」について意見交換を行ったもの。

 同研究会においては,現場の声として,「補助指導員の効率的な配置」「複数でチェックできる体制のあり方」などについて意見が出されている。

入会希望者の増加や対象学年の拡大により、老朽、狭隘だった施設の建てかえやトイレ整備が進みましたが、留守家庭子ども会は100人を超える箇所が珍しくなく、最大では198人にもなるなど、大規模化はますます深刻です。

D40人を超える子ども会は,支援の単位ごとに分割した区画が望ましいと考えますが、現在のスペースである1部屋を単に2分割すればいいというのでは不十分だと思います。その整備計画についてのご所見をお伺いします。

(答弁)必要に応じた施設整備を進めるとともに,大規模クラブについて,「複数のクラブに分割して運営することや,支援単位ごとの分割に依り難い場合は,1クラブの中で児童を複数の集団に分けて対応することに努めること」が国から示されており,そうした対応を行うことになると考えている。

E条例の第9条には、設備の基準として、「遊び及び生活の場としての機能並びに静養するための機能を備えた区画を設けるほか、支援の提供に必要な設備及び備品等を備えなければならない」と明記しています。保育室に加えて、学習室、静養室、職員室、男女トイレ、調理室、集会室、更には発達障がい児への対応としてのクールダウンの部屋など、支援の提供に必要な区画を設ける必要があると考えますが、ご所見をお伺いします。

(答弁)国は施設や設備についても,「地域の実情に応じ,支援の提供に必要と考えられる設備,備品等を備えることが適当」としており,本市においても,条例をふまえ,今後も箇所ごとの個別状況に応じて,必要な機能の確保並びに設備等を整備するよう対応を行っていきたい。

F平日、土曜日、長期休業中の留守家庭子ども会の開設時間と、指導員の勤務時間についてお尋ねします。

(答弁)開設時間については
   平日    市立小学校の授業の終了後から午後7時まで
   土曜日   午前8時30分から午後6時まで
   学校休業日 午前8時30分から午後7時まで
  勤務時間については,指導員は,週27.5時間勤務の非常勤嘱託員であることから,1日5.5時間の週5日勤務を基本とし,平日は午後1時30分から午後7時まで,長期休業期間などの学校休業日においては、午前8時30分から午後2時まで、または午後1時30分から午後7時までとしている。

2013年に行った子ども・子育て支援に関するニーズ調査において、留守家庭子ども会で今後充実してほしいことに、「学校休業日の開始時間を早めること」が50.7%と最も多い要望となっています。この間、

G長期休業期間中の開設時間を、現行の8時30分から8時に早める要望が保護者や議会でも上がっています。指導員研修会でも8時開設への変更の必要性が話題となったとお聞きしますが、その検討状況はどうなっているのかお尋ねします。

(答弁)長期休業期間中の開設時間を早める件については,市民や議会からの要望を踏まえて現在検討を行っているところであり,課題を精査しながら,検討を進めてまいりたい。

 8時開設が進まない理由として、指導員が非常勤特別職である嘱託員で、週27.5時間、1日5.5時間勤務であることが最も大きい要因ではないかと考えます。現在は、開始時間の8時30分から午後2時までと、午後1時30分から7時までの勤務の2交代制で、30分の引継ぎ時間が確保できますが、8時開設となると、前半勤務が8時から午後1時30分までとなり、午後の勤務者との引継ぎ時間の確保が難しいためと考えられます。引継ぎ時間の確保は、子どもの様子や保護者からの連絡事項の引継ぎなど、絶対に必要な時間帯です。課題解決のためには、現在1日5.5時間とされている勤務時間の延長が必要です。

 週27.5時間という福岡市の嘱託員の勤務時間は、国家公務員に適用される人事院規則における、「非常勤職員の勤務時間は、常勤職員の1週間あたりの勤務時間の4分の3を超えない範囲」という規定に準拠したものということですが、地方公務員については、法的な根拠があるわけではありません。また、常勤職員の勤務時間週38時間45分の4分の3ということであれば、週に約29時間、1日あたりでいうと5時間48分となり、5時間45分の勤務が可能という判断もできるはずです。わずか15分の勤務時間の延長で引継ぎ時間30分の確保が可能となります。住民サービスの充実が求められている昨今、総務企画局には、嘱託員の勤務時間について、業務の発生状況に応じた柔軟な対応を強く求め、子ども未来局には長期休業期間中の8時開設の検討を前向きに行うことを重ねて要望しておきます。

H子ども・子育て支援法の附則に、「指導員の処遇の改善、人材確保の方策の検討」を図ることが明記されています。しかし、現在の留守家庭子ども会指導員の勤務実態は過酷と言わざるを得ません。子ども会の閉所時刻と指導員の勤務終了時刻が午後7時であるため、後片付けの時間が確保されていないという、他の職場では考えられない勤務時間。重ねて、職務内容も、子どもの支援に加えて、利用に関わる事務処理、子どもの入会審査、など。指導員の努力で対応せざるを得ない状況と聞き及んでいます。指導員が事務作業に係っている時間帯は、当然、指導員体制は不十分となり、子どもたちへの安全・安心な指導・支援が不安であるという声も聞かれることから、職務内容の軽減、もしくは事務補助員など人的措置などの見直しが必要と考えます。さらに、新制度では、16科目24時間の放課後児童支援員に係る都道府県認定研修が義務付けられ、認定研修終了者には「修了証」が発行され、永久保存となるなど、その専門性が求められています。人材確保の観点からも、5年間の雇用期間は廃止するとともに、勤務時間の見直しが必要と考えますが、ご所見をお伺いします。

(答弁)嘱託員たる指導員については,市の嘱託職員制度の枠組みでの対応を行っている。任用については,1年毎に任用されるものであるが,勤務成績が良好な場合に4回を限度に更新している。また,更新限度以降も再試験を受験し合格することで,再任用を認めているものである。

I新制度は、社会保障と税の一体改革の一環として、消費税率の引き上げにより確保する7000億円程度の財源により地域の子ども・子育て支援の充実を図るものですが、国は消費税の引き上げを1年半延長することを決めました。留守家庭子ども会の運営に係る国庫補助金の交付等、2015年度から新制度に移行することに支障は生じないのか、お尋ねします。

(答弁)子ども・子育て支援新制度については,予定どおり平成27年度から施行する旨,国も表明しており, 本市においても予定どおり,新制度への移行準備を進めてまいります。

 そもそも、私は、福祉や子育て政策の財源を、過度に消費税に求めるのは間違いだと考えます。弱者に重い負担がかかる消費税で社会保障費をまかなおうとすれば、税率を上げていくしかなく、弱者の負担は増すばかりの悪循環に陥ることは火を見るよりも明らかです。消費増税に依存する「社会保障と税の一体改革」が成り立たないことを消費増税の先送りが示しました。子育て支援策の財源は、消費税の増税に依るのではなく、福岡市行政の主要施策として、後れを取らないよう取り組むことを要望しておきます。

J「全児童対策事業」としての放課後等の遊び場づくり事業、いわゆるわいわい広場は、小学校のすべての児童を対象とし、利用したい児童は登録し帰宅しないで参加することを前提としていることから、施設・設備や職員配置、子どもへの対応など、留守家庭の子どもたちの放課後の生活を守る内容が備えられていません。しかし、近年では、午後5時までは無料の「わいわい広場」を行ない、午後5時以降は有料の留守家庭子ども会事業を行うことで、学童保育の代替にしようとしている自治体があることを聞きます。適切な遊び及び生活の場を提供する留守家庭子ども会と、自由に安全に遊びや活動をする場を提供する放課後の遊び場づくりとは目的を異にします。福岡市は50年来にわたって守ってきた留守家庭子ども会事業について、福岡市の直営としてしっかり守っていくべきと考えますが、市長のご所見をお伺いして、私の質問を終わります。

(答弁) 本市の留守家庭子ども会は,児童の健全育成と保護者の仕事と家庭の両立支援に大きく寄与してきた事業であり,学年拡大に取り組むなど,その充実を図ってきたところ。国の子ども・子育て支援新制度においても,地域子ども・子育て支援事業に位置付けられる重要な事業である。

本市においては,地域や学校との連携のもと運営されてきた経緯も踏まえ,引き続き事業の充実に努めていく。

反対討論

 私は、社民・市政クラブ福岡市議団を代表しまして、本議会に提案されました諸議案のうち、議案第209号、議案第255号及び議案第256号、議案第258号に反対して、討論を行います。

  初めに、議案第209号、福岡市介護保険事業特別会計補正予算案(第1号)についてです。

  本補正予算案は、介護保険法改正に伴う保健福祉総合システム改修のための経費です。本年6月18日、医療・介護総合推進法が成立、それに伴い介護保険法の改正も具体的に確定し、2015年4月以降、順次施行されます。支払い能力に応じて負担を引き上げ、サービスの利用は、より介護の必要性が高い人に重点化し、めり張りをこれまで以上につけるとした介護保険制度については、大幅なサービス抑制、地域医療の確保に深刻な影響を与えかねない医療制度の見直しなど、国民生活の安全、安心のかなめである医療、介護を縮小させるものであり、到底納得できるものではありません。具体的には、要支援高齢者に対する訪問介護、通所介護サービスを予防給付から切り離し、地域支援事業として市町村への事業移管や新規入所者が要介護3以上に限定される特別養護老人ホームの入所基準の厳格化です。これらは市町村間でのサービスの格差や介護サービスの質と量の低下を招くとともに、介護難民を生み出し、家族の介護のために離職する介護離職や介護する家族も倒れる老老介護の増加を招くことが懸念されます。さらに、介護保険の利用者負担は一律で1割負担となっているものが、8月より一定以上の所得がある人は2割負担に引き上げられる見通しです。このように、社会保障を本人の自立、自助、家族や地域の互助に押しつける介護保険法の改正には問題があることから、本補正予算案に反対するものです。

  次に、議案第255号及び議案第256号、福岡市立背振少年自然の家及び福岡市立海の中道青少年海の家に係る指定管理者の指定についてです。

  本議案は、これまで福岡市が直営で事業運営を行っていたものを、2015年4月1日から2018年3月31日までの3年間、麻生教育サービス株式会社を代表者とする、あゆみらい福岡市自然の家共同事業体を指定管理者に指定するというものです。背振少年自然の家及び海の中道青少年海の家は、小中学生の集団宿泊を伴う野外体験活動の教育施設として、その役割を果たしてきています。しかし、昨今の行財政改革の流れの中で、民でできることは民でと指定管理者制度の導入が教育分野にまで及んでいることは看過できるものではありません。両施設の指定管理者制度の導入に当たっては、一般利用者の拡大をうたっていますが、それが民間でなければできないという理由は見当たりません。むしろ数日間の集団宿泊や集団行動でのトラブル、児童生徒の個別的な問題の対処、学校間の調整など、個人情報の問題含め、非常に慎重な対応が求められることから、市が直営で行うべきであり、民間による指定管理者制度に反対するものです。

  最後に、議案第258号、第2給食センター整備運営事業に係る契約の締結についてです。

  本議案は、第2給食センター整備運営事業をPFI方式で実施するため、施設の設計、建設、開業準備及び維持管理、運営業務を包括して東洋食品グループに委託するものです。我が会派は、学校給食センターをPFI方式で行うことには当初から反対であることを述べてまいりました。現在、第1給食センターの供用開始からまだ4カ月足らずですが、学校現場からは量や味、食缶等に関する意見、要望が多数寄せられています。しかし、第1給食センターでの調理、配送等、事業手法が何ら検証されることなく、第1給食センター供用開始前の7月中旬に事業者提案の受け付け、事業者の審査が行われ、第1給食センター供用開始1カ月足らずの9月26日に落札者の公表が行われました。さらに、選定事業者が第1センターと同じ代表企業グループであることから、事業内容や雇用、労働条件等が第1センターを上回るものとなることへの期待が持てず、1事業者に管理運営が集中してしまう懸念さえ抱きます。中学校給食は、効率性を第1に、人件費の抑制を目的としたPFI事業で行うべきではなく、40年余りの実績を持つ学校給食公社で行うべきであることを改めて申し上げておきます。

  以上、述べました諸理由から議案第209号、議案第255号及び議案第256号、議案第258号に反対するものです。


  以上で社民・市政クラブ福岡市議団の反対討論を終わります。