第1回福岡市議会定例会(2月19日〜3月16日)

 2万1,000人を超す犠牲者を出した東日本大震災から4年を迎えました。今もなお約23万人の方々が仮設住宅などで避難生活を強いられています。徐々に鉄道などの復旧の動きはみられるものの、いまだに住宅・産業の復興のめどは立っていません。さらに、東京電力福島第1原発事故による除染作業は進まず、核の最終処分場、福島第1原発の汚染水漏れなど多くの課題を抱えたままです。4年を迎えた今日、改めて犠牲になられた方々のご冥福をお祈りするとともに、一日も早い復興を願うものです。私たち社民・市政クラブ福岡市議団は、「フクシマ」の悲劇を忘れず、脱原発社会の実現に向けて頑張る決意を申し上げて、質問に入ります。

○「介護予防・日常生活支援総合事業」の推進について

 全国一律の介護予防給付として、要支援1・2の方々を対象として提供されている訪問介護・通所介護のサービスが、介護保険制度の改悪により、2015年度から市町村で実施する地域支援事業に段階的に移行されます。地域の裁量によってサービスの質に大きな格差が出ることが懸念され、対象者とその家族の方々は、引き続き介護予防サービスが受けられるのか、不安に駆られています。さらに、4月より特別養護老人ホームの新規入所者が、原則として要介護3以上に限定されることから、老老介護や介護のための離職者の増加が懸念されます。

 そこで、

?福岡市内の要支援1・2の認定者数過去3年間の推移をお知らせください。

(答弁)本市の要支援1・2の認定者数の過去3年間の推移は,年度平均で

H23年度:15,770人,H24年度:17,225人,H25年度:19,054人となっている。

?要支援1・2の認定者数は、年々増加していますが、訪問や通所サービスの利用者率の推移はどうなっていますか。

(答弁)要支援認定者のうち,

介護予防訪問介護の利用割合は H23年度:39.7%,H24年度:37.8%,H25年度:35.6%

介護予防通所介護の利用割合は H23年度:24.1%,H24年度:25.4%,H25年度:26.5% 

となっている。

 「訪問介護」と「通所介護」サービスが次年度より、市町村で実施する地域支援事業に移行されることから、地域の裁量によって、サービスの質・量に格差が出ることが懸念されています。

?昨年10月から、1年間の委託モデル事業として、6事業所で「高齢者生活支援人材育成事業」を行っていますが、具体的にはどういう事業内容ですか。

(答弁)「高齢者生活支援人材育成事業」は,平成29年度から要支援1,要支援2の認定者の訪問介護事業,通所介護事業が市町村事業となることを踏まえて,モデル事業として実施するもの。
  具体的には,高齢者人口の増加に伴い,新たに在宅の高齢者に対する介護予防・生活支援サービス事業等の創出・拡大が必要となるため,NPOや社会福祉法人や株式会社などの様々な主体を活用したサービス提供の管理・運営等をモデル的に実施するもの。
  6事業者においては,ミニデイサービスや軽易なホームヘルプなど,それぞれの特性に応じた事業に取り組んでいる。

?サービス内容や担い手に多様性や強弱が生まれる懸念があります。例えば、「食事作りや掃除などの家事、買い物は資格がなくてもできるから、地域ボランティアで」というものです。サービスの低下を招かないためにも、「地域ボランティア」という美名のもとに、自治会への押し付けは行うべきではないと考えますが、ご所見をお伺いします。

(答弁)新総合事業においては,既存の介護事業所による既存のサービスに加えて,多様な担い手によるサービスが求められており,NPOや社会福祉法人,企業等によるサービスの充実を図っていく。

一方,高齢者が住み慣れた地域で安心安全に暮らしていくためには,住民同士の支え合い活動が重要であり,地域における自発的な活動の活性化に向け,社会福祉協議会や自治協議会等と連携しながら,支援を行っていく。

日々の生活において、住民同士の支え合いは重要なものだと認識しています。しかし、地域支援事業費削減の手立てとして、サービスを「支え合い」として地域へ丸投げする事は、利用者にとってもボランティアにとっても、持続可能なものとは成り得ないのではないかということを指摘しておきます。

?現行の介護保険制度での、介護サービスの財源構成についてお尋ねします。利用者の自己負担は10%となっていますが、保険料、国、都道府県、市町村の財源比率をお知らせください。

(答弁)利用者の自己負担分を除いた費用を以下の割合で負担。

  保険料:50% 国:25% 県:12.5% 市:12.5%

?市町村事業になると国、県の財源負担はどうなるのか、利用料(いわゆる自己負担額)を1割より引き上げることになるのか、市民の皆さんの不安は募るばかりです。財源構成についてお示しください。

(答弁)今回の改正により,要支援者の訪問介護と通所介護は,従来の介護給付から地域支援事業に移行されるが,同じ介護保険事業の中で行われるものであり,現行の財源構成と変わらない。

利用料については,各市町村で定めることとされており,今後制度設計を行っていく中で検討していく。

 今年の8月から、介護サービスの自己負担が年収280万円以上の方は1割から2割に上がります。 利用料については今後検討していくとのことですが、年金の減額や消費税の増税などで高齢者は悲鳴を上げています。1割負担の継続を強く求めておきます。

?新総合事業の本格実施までのスケジュールはどうなっていますか。

(答弁)新総合事業については,地域の多様な事業主体による多様なサービスの充実などの受け皿整備に一定の準備期間が必要なことなどから本市においては,H29.4から実施予定。

H27からH28前半にかけて事業内容の検討を行い,その後,事業者の募集・市民への周知を行う。

?現在行われているモデル事業についてもしっかり検証を行い、介護報酬の単価設定についても事業者にとって、介護給付事業として成り立つ単価設計をすべきと考えますが、ご所見をお伺いします。

(答弁)サービス提供事業者が確保という視点も考慮しつつ,モデル事業の検証などにより,適切な制度設計を行う。

 2012年の総務省就業構造基本調査によると、介護をしながら働いている人は約291万人、過去5年間で介護・看護のために離職した人は48万7000人となっています。家族の介護力が期待できない単身世帯や老夫婦だけの高齢者世帯も急増しています。

?4月より特別養護老人ホームの新規入所者が、原則として要介護3以上に限定されますが、今でも特養への待機問題がある中、老老介護や介護のための離職者の更なる増加が懸念されます。介護を家族で抱え込まない対策が必要だと考えますが、ご所見をお伺いします。

(答弁)〇要援護高齢者を在宅で介護されている家族への支援については,介護保険サービスのショートステイに加え,あんしんショートステイなどの独自サービスの実施や介護技術習得のための講座などを開設している。

  • 平成27年度からは,いきいきセンターふくおかを増設するなど,地域の相談機能を充実させており,今後とも介護を家族で抱え込まないようきめ細やかな支援を実施していく。
  • 団塊の世代が後期高齢者となる平成37年に向け,高齢者の要介護度が重度になっても,住み慣れた地域で自立した生活を安心して続けることができるよう,医療や介護,生活支援などが一体的に切れ目なく提供される地域包括ケアシステムの構築に取り組んでいく。

○「介護予防・日常生活支援総合事業」の推進について

 全国一律の介護予防給付として、要支援1・2の方々を対象として提供されている訪問介護・通所介護のサービスが、介護保険制度の改悪により、2015年度から市町村で実施する地域支援事業に段階的に移行されます。地域の裁量によってサービスの質に大きな格差が出ることが懸念され、対象者とその家族の方々は、引き続き介護予防サービスが受けられるのか、不安に駆られています。さらに、4月より特別養護老人ホームの新規入所者が、原則として要介護3以上に限定されることから、老老介護や介護のための離職者の増加が懸念されます。

そこで、

?福岡市内の要支援1・2の認定者数過去3年間の推移をお知らせください。

(答弁)本市の要支援1・2の認定者数の過去3年間の推移は,年度平均で

H23年度:15,770人,H24年度:17,225人,H25年度:19,054人となっている。

?要支援1・2の認定者数は、年々増加していますが、訪問や通所サービスの利用者率の推移はどうなっていますか。

(答弁)要支援認定者のうち,

介護予防訪問介護の利用割合は H23年度:39.7%,H24年度:37.8%,H25年度:35.6%

介護予防通所介護の利用割合は H23年度:24.1%,H24年度:25.4%,H25年度:26.5% 

となっている。

 「訪問介護」と「通所介護」サービスが次年度より、市町村で実施する地域支援事業に移行されることから、地域の裁量によって、サービスの質・量に格差が出ることが懸念されています。

?昨年10月から、1年間の委託モデル事業として、6事業所で「高齢者生活支援人材育成事業」を行っていますが、具体的にはどういう事業内容ですか。

(答弁)「高齢者生活支援人材育成事業」は,平成29年度から要支援1,要支援2の認定者の訪問介護事業,通所介護事業が市町村事業となることを踏まえて,モデル事業として実施するもの。

具体的には,高齢者人口の増加に伴い,新たに在宅の高齢者に対する介護予防・生活支援サービス事業等の創出・拡大が必要となるため,NPOや社会福祉法人や株式会社などの様々な主体を活用したサービス提供の管理・運営等をモデル的に実施するもの。

6事業者においては,ミニデイサービスや軽易なホームヘルプなど,それぞれの特性に応じた事業に取り組んでいる。

?サービス内容や担い手に多様性や強弱が生まれる懸念があります。例えば、「食事作りや掃除などの家事、買い物は資格がなくてもできるから、地域ボランティアで」というものです。サービスの低下を招かないためにも、「地域ボランティア」という美名のもとに、自治会への押し付けは行うべきではないと考えますが、ご所見をお伺いします。

(答弁)新総合事業においては,既存の介護事業所による既存のサービスに加えて,多様な担い手によるサービスが求められており,NPOや社会福祉法人,企業等によるサービスの充実を図っていく。

一方,高齢者が住み慣れた地域で安心安全に暮らしていくためには,住民同士の支え合い活動が重要であり,地域における自発的な活動の活性化に向け,社会福祉協議会や自治協議会等と連携しながら,支援を行っていく。

 日々の生活において、住民同士の支え合いは重要なものだと認識しています。しかし、地域支援事業費削減の手立てとして、サービスを「支え合い」として地域へ丸投げする事は、利用者にとってもボランティアにとっても、持続可能なものとは成り得ないのではないかということを指摘しておきます。

?現行の介護保険制度での、介護サービスの財源構成についてお尋ねします。利用者の自己負担は10%となっていますが、保険料、国、都道府県、市町村の財源比率をお知らせください。

(答弁)利用者の自己負担分を除いた費用を以下の割合で負担。

  保険料:50% 国:25% 県:12.5% 市:12.5%

?市町村事業になると国、県の財源負担はどうなるのか、利用料(いわゆる自己負担額)を1割より引き上げることになるのか、市民の皆さんの不安は募るばかりです。財源構成についてお示しください。

(答弁)今回の改正により,要支援者の訪問介護と通所介護は,従来の介護給付から地域支援事業に移行されるが,同じ介護保険事業の中で行われるものであり,現行の財源構成と変わらない。

利用料については,各市町村で定めることとされており,今後制度設計を行っていく中で検討していく。

今年の8月から、介護サービスの自己負担が年収280万円以上の方は1割から2割に上がります。 利用料については今後検討していくとのことですが、年金の減額や消費税の増税などで高齢者は悲鳴を上げています。1割負担の継続を強く求めておきます。

?新総合事業の本格実施までのスケジュールはどうなっていますか。

(答弁)新総合事業については,地域の多様な事業主体による多様なサービスの充実などの受け皿整備に一定の準備期間が必要なことなどから本市においては,H29.4から実施予定。

H27からH28前半にかけて事業内容の検討を行い,その後,事業者の募集・市民への周知を行う。

?現在行われているモデル事業についてもしっかり検証を行い、介護報酬の単価設定についても事業者にとって、介護給付事業として成り立つ単価設計をすべきと考えますが、ご所見をお伺いします。

(答弁)サービス提供事業者が確保という視点も考慮しつつ,モデル事業の検証などにより,適切な制度設計を行う。

 2012年の総務省就業構造基本調査によると、介護をしながら働いている人は約291万人、過去5年間で介護・看護のために離職した人は48万7000人となっています。家族の介護力が期待できない単身世帯や老夫婦だけの高齢者世帯も急増しています。

?4月より特別養護老人ホームの新規入所者が、原則として要介護3以上に限定されますが、今でも特養への待機問題がある中、老老介護や介護のための離職者の更なる増加が懸念されます。介護を家族で抱え込まない対策が必要だと考えますが、ご所見をお伺いします。

(答弁)〇要援護高齢者を在宅で介護されている家族への支援については,介護保険サービスのショートステイに加え,あんしんショートステイなどの独自サービスの実施や介護技術習得のための講座などを開設している。

〇平成27年度からは,いきいきセンターふくおかを増設するなど,地域の相談機能を充実させており,今後とも介護を家族で抱え込まないようきめ細やかな支援を実施していく。

〇団塊の世代が後期高齢者となる平成37年に向け,高齢者の要介護度が重度になっても,住み慣れた地域で自立した生活を安心して続けることができるよう,医療や介護,生活支援などが一体的に切れ目なく提供される地域包括ケアシステムの構築に取り組んでいく。

○地域の居場所「地域カフェ」づくりについて

 誰もが住み慣れたところで、いつまでも安心して暮らしたいと願っています。2013年度の福岡市高齢者実態調査では、約6割の方が「在宅で暮らしたい」との意向を持っていることがわかります。

 また、介護予防で大きな役割を果たしているのが、ふれあいサロンなど外出支援であり、地域での居場所づくりです。

?ふれあいサロンの実施個所数を2014年度含め3年間の推移でお示しください。

(答弁)
H24年度末現在    316個所
H25年度末現在    327個所
H26年12月末現在   351個所

?過去2年間の経費の決算額と、2014年度、2015年度の予算額はいくらですか。

(答弁) 決算額 H24年度 1,797万円余 H25年度 1,894万円余
予算額 H26年度 2,138万円余 H27年度 2,248万円余

?ふれあいサロンは、校区単位や町別単位など様々な形態で行われ、お示しいただいたように、年々増加傾向にありますが、未実施のところも多くあります。そのような中で、温かいつながりを生み出す地域活動の一つとして、地域が主体となり、地域住民誰もが参加できる「地域カフェ」が全国的に広がっています。福岡市においても、ふれあいサロンのほか,認知症高齢者とのふれあいなどを目的にとりくまれている地域があると伺っていますが、そこではどんな取り組みをされているのかお尋ねします。

(答弁)〇福岡市においても,認知症高齢者とのふれあいなどを目的とした「地域カフェ」が東区八田校区や城南区堤校区,金山校区などで開催されている。

○そのなかで,城南区堤校区では,公民館で毎月1回,認知症の人やその家族をはじめ,地域住民が気軽に集う「つつみカフェ」が,認知症サポーターを中心とした住民ボランティアや介護サービス事業者により開かれている。

○また,地域の元気高齢者も参加することにより,生きがいづくりや健康づくり,介護予防などに寄与している。

?壱岐南校区では、「地域カフェ」の取り組みとして、公民館で「ふら〜っとカフェ」を2月と3月の2回開催しました。きっかけは、2015年度から要支援の方々へのサービスが地域支援事業になることから、壱岐南校区内の高齢者施設と病院の職員が、昨年1月から「地域で何ができるのか」と、今後の地域包括ケアについての学習会を始めたことからと聞き及んでいます。地域でやれることはないかと勝手連的に公民館関係者や自治会の方々で、自称「地域ケア連絡会」をスタートさせ、10回近くに及ぶ「ケア連」会議を重ねて、校区内事業所の車での巡回による送迎サービスと、ボランティアセンターあすみんのご協力と募金で「ふら〜っとカフェ」を実現させました。参加者の声として、「日々話す相手も少なく、できるだけ人との接触を、と思い切って参加しました」「よい思い付きで、なかなか会えない方と会えてよかったです」「遠いので公民館に行きづらかったが、送迎があり助かった」など取り組みを歓迎する声がたくさん聴かれました。今回は、予算も何もないところからのスタートでしたが、あすみんのご協力で2回の開催が実現できました。参加者の皆さんから、高い評価をいただいた「ふらっとカフェ」ですが、継続的な活動とするためには予算が必要です。今後このような「地域カフェ」の取り組みが全市に広がっていくためには,計画的な予算組みが必要と考えますが、そのような支援制度はあるのでしょうか。

(答弁)〇平成26年度から,自治会・町内会が行う,幅広い世代の住民が交流するイベント等に対し,3年間を限度に助成する「地域デビュー応援事業」を実施している。

○実施された地域からは「住民同士がよく挨拶を交わすようになった」「新たな地域活動者が増えて良かった」などの声,また「地域カフェなど継続的な交流の場づくりにも活用したい」という意見もいただいている。

○そういった意見も踏まえ,平成27年度から,「地域カフェ」についても助成対象とするなど,地域デビュー応援事業を拡充し,住民のふれあいや交流促進を支援していく。

(要望)

 「ふれあいサロン」は、孤立防止や介護予防、生きがいと健康づくりなどを目的として、高齢者や障がい者などと地域住民がふれあいの場を広げる活動として、校区社協が行っています。

 しかし、居住する町内でふれあいサロンが開催されていなかったり、公民館での催し物に参加する際に交通手段を要する方々にとっては、外出は不足がちになります。高齢者実態調査でも、ほとんど外出しないと答えた方は6.3%で、その理由として、「特に外出する用事がない」が37.6%と最も多くなっています。今回壱岐南の「ふら〜っとカフェ」での参加者の声には、「年をとってきて家の中にじっとしているとジメジメしてくるのでいいチャンスだと思い参加しました」、「誘われてきました」、「目的はありません。ふらっと来ただけですが、楽しかったです」、「終活の話がためになった」、「肺活量測定などの健康チェックに肩こりマッサージをしてもらいよかった」などなど、この先も続けて欲しいという声ばかりでした。中には、「次は、私もコーヒーを出したりならボランティアができるかも」という声まで聞かれ、運営に携わっていきたいという方も13名おられたということです。

 「地域カフェ」は、子どもから高齢者まで幅広い世代の住民が自由に参加できる地域住民の交流の場です。先々は、いつでもふらっと寄れるようなカフェや、高齢者と一緒に参加した家族介護者のレスパイトの役割を果たす語り場としての居場所づくりを地域に仕組んでいくことが必要と考えます。高齢社会において、しかし高齢者だけでなく誰でもが参加できる地域住民の交流の場として、自主活動を応援するシステムを要望します。

○「障がい児保育の推進」について

?障がい児保育に係る過去2年間の決算額と、2014年度、2015年度の予算額、併せてその事業内容についてお尋ねします。

(答弁) ○障がい児保育事業 予算額,決算額

(単位:千円)

 

2012年度

2013年度

2014年度

2015年度

予算額

267,837

340,202

決算額

249,423

279,795

 ○2015年度の事業内容

  • 障がい児を入所させている保育所に対して,人件費の助成を行う。
  • 障がい児が入所している保育所に対する巡回訪問指導
  • 市内の全保育所対象の研修実施
  • 社会福祉事業団による訪問支援(市内の全保育所対象)及び判定業務

?全保育所対象の研修を行っているとのことですが、どういう研修を行っているのですか。

(答弁)研修については,障がい児及び障がい児保育に対する理解と認識を深め,専門性を高めることを目的として実施しており,施設長や主任保育士,一般保育士を対象として全体研修、事例検討会や公開保育などの実践的な区別研修,また保育士を対象とした児童発達支援センターでの体験研修も行っている。

?障がい児保育を実施するに当たり、保育士の加配の基準についてお尋ねします。

(答弁)障がい児保育は、保育に欠け、心身の障がいや発達に遅れがあり、集団保育になじむと判定されたお子さんを対象としており、障がいの程度によって、軽度、中度、中度より重い児童に区分し、保育士雇用費を助成している。

助成額(月額)(民間保育所補助額)  

障がいの程度

児童1人当たりの助成額

軽 度

 65,000円

中 度

 97,000円

中度より重い

 130,000円

?障がいの程度によって、保育士雇用費を助成していますが、軽度の場合の月65,000円は、臨時職員を雇用した場合、月何時間の勤務となりますか。

(答弁)加配保育士を臨時職員で雇用した場合, 80時間相当になる。

?月80時間は、1日8時間勤務とすると、わずか10日分にしかなりません。毎日加配に来てもらうとなると、1日4時間の勤務となります。子どもは、保護者の勤務実態に沿って登園します。当該児童の在園時間中に、加配保育士がいない状況が生まれるのではないですか。

(答弁)平成14年度以降,ほとんどの保育所で障がい児を受け入れてもらっているが,保育所は集団保育の場であることから,常態として保育士が1対1で対応する保育はしておらず,お子さんの実情に合わせて,食事や排泄の介助,運動の補助など,保育内容や保育に関わる時間帯に応じた支援を実施している。

?しかし、ある保護者から、「園長から加配の勤務時間は短いので、保育時間を短くしてほしい。もっと早くお迎えに来れないか」という趣旨のことを言われたと相談がありました。園長をはじめとして、障がい児保育における加配保育士の位置づけが周知されていないのではありませんか。

(答弁)ご指摘のような事例については把握しておりませんが,障がい児保育担当保育士の趣旨ついては,毎年,年度当初に文書で各保育所に通知するとともに,巡回訪問時に周知するなど,理解を促している。

?しかし、現場ではそのことが、障がい児保育を難しくしているように思えます。本市のこれまでの障がい児の受け入れ状況と、現在の状況をお知らせください。

(答弁)平成14年からの障がい児の受け入れ保育園は97%、平成27年3月1日現在の受け入れ園数と受け入れ人数は,157園,428人である。

?障がい児保育を行うに当たり、現場からはどんな課題が上がっていますか。

(答弁)近年,障がい児保育対象児の増加や障がいの内容の多様化により,保育士に,障がいに対する理解とより高い専門性が求められるようになってきている。

?在園児の中には、保護者の理解が得られず、障がい児としての認定を受けていない子どもの中にも、支援を必要とする子が在園しています。先ほど、保育士が1対1で個別に対応するような保育は実施していないとのことでしたが、加配は、認定を受けている子どもにのみの支援となっていると現場からは伺っています。該当児が欠席の場合など園長の運用で、支援を必要とする子どもの支援をすることも可能となるようにできないのか、お尋ねします。

(答弁)障がい児保育対象児以外の支援を必要とするお子さんについても、加配保育士を含め,園全体で対応している。なお,心身障がい福祉センターや療育センターの保育士が保育所に出向き、お子さんの特性に合わせた適切な関わり方や環境の整え方、保育への参加の仕方等、具体的な助言・指導も行っている。

?支援を要する子どもをめぐる課題として、園外保育での介助があります。遠足等での園外保育に保護者の付き添いを求めることがあり、保護者が仕事の都合で来れない場合は、他のクラスで居残り保育となると聞きますが、そのような実態を把握していますか。

(答弁)園外保育の目的地までの移動について,安全性の観点から十分なケアがとれないということで,保育所から保護者の付き添いを求められたという事例があるということは把握している。

?園長が保護者の付き添いを求めることについて、ご所見を伺います。

(答弁)活動内容やお子さんの障がい,疾患の状態によっては、安全性の確保やお子さんの体調管理の面から、付き添いを求めたほうがお子さんにとって最善の場合もあるかと思う。一方で,保護者の就労状況から付き添いの時間が確保できない場合もあり,個々のケースに応じた適切な対応を取ることが必要であると考える。 

 どの保護者も必死で働いています。これはすべての保護者に言えることです。しかし、その中でも障がい児を育てている保護者の中には、定期的な療育を受けるために時間の確保をしながら、勤務の調整をしていると伺っています。「この先、障がい児の親が負担なく保育園生活を送れるように」ということが親の願いです。決して我がままでも、贅沢な願いでもありません。保育園の任務は、働く保護者の支援ですから、むやみに保護者の付き添いを求めることをすべきではなく、現場の困難に対する改善策を行政が積極的に行うべきと申し上げておきます。

?障がい児保育は、現場のやる気や力量任せでは持続しません。子どもたちの育ちを支える人の存在は必須です。園児の在園時間に加配職員が配置できるように、加配の基準額を上げる必要があると考えますが、ご所見を伺います。

(答弁)障がい児を受け入れている保育所に対して,障がいの程度や人数に応じて保育士雇用費を助成しているが、常態として保育士が1対1で対応するような助成ではないことから,お子さんの在園時間に合わせて,職員を配置することは難しいと考える。 なお,各保育所の状況等を調査し,平成21年度から補助金を2割増額している。

 豊かな障がい児保育を進めるにあたっては、保育士の処遇改善も重要です。福岡市ではこの間、単費補助金で保育士の処遇改善を図ってこられています。しかし、新制度の移行に伴って、この補助金についても廃止の動きがあり、現在、福岡市保育協会と協議中であると伺っています。保育士の処遇改善は喫緊の課題です。これまで福岡市が独自で進めてきた改善策に逆行することは行うべきでないということを、この場で申しあげておきます。さて、

?日常の園生活の延長線上に園外保育があります。事故の不安は園外に限らず、ましてや障がいのあるなしに関わらず起こる可能性があります。保護者の付き添いがないことを理由に、園外保育に連れて行かないということは、障がいをもつ子どもが、集団保育を受ける権利を侵害されたといっても過言ではありません。そういう時こそ、加配保育士がマンツーマンで支援をすべきではないでしょうか。ご所見をお伺いします。

(答弁)園外保育については,保育所は安全に配慮しながら,必要な人員体制で実施しているところであるが,活動内容やお子さんの障がい,疾患の状態によっては、安全性の確保やお子さんの体調管理の面から、付き添いを求めたほうがお子さんにとって最善の場合もあるかと思う。ある一方で,保護者の就労状況から付き添いの確保ができない場合もあり,個々のケースに応じた適切な対応を取ることが必要であると考える。

 障がい児保育は、障がい児の保育を受ける権利を保障するとともに、保護者の就労支援を行い、保育、福祉、療育を総合的に保障することにつながっていったと考えます。また、通常の保育施設で共に生活をするこの保育は、決して障がいのある子のためにのみ行われるのではなく、障がいのない子にとっても共に育つ統合保育として、計り知れない意義を持っています。

 就学前の集団保育で障がいのあるなしに関わらず、子どもたちが当たり前に遊び、助け合い育ち合う環境こそ意義のあることではないでしょうか。

 遠足に一緒に行けなかったAちゃんのお母さんは、子どもたちから「何でAちゃんは一緒に行けないの」と疑問を投げかけられたそうです。子どもたちは、日々の園での生活の中で一緒に行動することが当たり前と思っていた、これこそ障がい児保育で育てられた感性と共生、共に生きようとする仲間意識です。しかし、それを「障がいがあるから私たちと違う」ということを結果として大人が示してしまったということです。Aちゃんは、自分が歩けないことが悪いことのように言い、お母さんには、「障がい児保育って何なんでしょうね。障がい者に生んでしまい、子どもに対して申し訳なさいっぱいです」と言わせてしまう。あってはならないことです。

 先日、早良区のある保育園を訪問しました。そこでは、9人の障がい児を受け入れ、5人の加配保育士を配置して、障がい児保育に取り組んでおられました。肢体不自由の子どももいましたが、園外保育の際は、あいあいセンターから借り出したバギーで移動するそうです。福岡市の障がい児保育では、園長の理解と姿勢が大きいことは否めません。そういう意味からも、先ほどの全園対象研修等で、障がい児保育の先進的な実践・事例報告など、積極的に行っていただきたいと要望します。

?昨年の総会質疑において、療育を要する子どもの保育について質問し、児童発達支援センターに、保育所機能を持たせることを要望しました。障がい児を育てながら働き続けることへの支援と理解は待ったなしです。あらためて市長にお尋ねします。障がい児を育てながら働き続けることのできる環境づくりについて、ご所見をお伺いします。

(市長答弁)障がいのある子どもたちが適切に保育を受けられることは,重要と考えている。

障がい児を受け入れる保育所に対しては,保育士雇用費の助成,研修や訪問,相談等各種の支援を実施し,障がい児保育の推進や充実を図ってきた。

今後とも,障がい児保育の推進を図るとともに,障がいを持つ保護者の就労支援につながる環境づくりに努めていく。