決算特別委員会 総会質疑 (10月22日)

1.学校教育における子ども読書活動の推進について

 市教委は、学校司書の配置方針を幾度となく変更しながら、18年間かけて離島を除く全ての学校に配置したと言います。しかし、学校司書の人数はその都度若干名ずつ増えてはいますが、学校図書館の整備充実への熱が感じられません。配置計画が場当たり的と言わざるを得ず、わずか30人という少なさから、学校司書の増員を求めました。

 はじめに、「学校教育における子ども読書活動の推進」について、質問いたします。
 読書活動は、全ての学力、知識の基礎となる言語力の向上に寄与するとともに、読解力や表現力、想像力を高め、豊かな感性を育てます。また、自己実現を図っていくことの手助けもしてくれ、人生をより良く生きていく上で欠かすことのできないものです。そして、学校教育の目的達成と充実を目指して設けられた学校図書館は、「学校教育の中核」としての役割を期待されています。
 そこでまず、
本市における小学校及び中学校の図書購入費、過去3年間(2012年。2013年、2014年)の決算額をお尋ねします

【教育長】

  • 図書購入費の小学校及び中学校の過去3年間の決算額は
       平成24年度 1億8千817万円余
       平成25年度 1億6千231万円余
       平成26年度 1億3千534万円余となっている。

②それは、1校当たりにするといくらになるかお尋ねします。(2012、2013、2014を小中学校別に)

【教育長】

  • 小学校の1校当たりの決算額は
        平成24年度  74万円余
        平成25年度  61万円余
        平成26年度  54万円余となっている。
  • 中学校の1校当たりの決算額は
        平成24年度 115万円余
        平成25年度 106万円余
        平成26年度  82万円余となっている。

図書購入費が年々減額されていますが、その理由についてお尋ねします

【教育長】

  • 文部科学省が示した「学校図書館図書標準」の達成に向けた予算配分に、これまで取り組んできた結果、ほとんどの学校が図書標準を達成してきたことから、減額となっている。

国が定める図書標準冊数の達成学校数は、小中学校それぞれ何校で、達成率は何%ですか。また、達成できていない学校の理由は何かお知らせください

【教育長】

  • 図書標準の達成学校数と達成率は、平成26年度末時点で
    小学校が124校で86.7%、中学校が65校で94.2%となっている。
    達成できていない学校は、平成26年度予算にて、図書標準を達成するための予算を配当したものの、学校図書館図書廃棄基準に基づき、記述されている内容や資料が古くなった図書などを廃棄した結果、図書標準冊数を下回っているもの。

⑤2012年度より、2016年度までに学校図書館図書基準の標準冊数を整備することを目標に、約1000億円(単年度約200億円)をかけて新たな学校図書館図書整備5か年計画がすすめられています。
文科省は、図書購入に関しては、増加冊数分に単年度約86億円、更新冊数分に単年度約114億円、各校に新聞1紙配備分として単年度約15億円を措置していると言っています。新聞の配備状況について、過去3年間の小・中学校の配備率をお尋ねします。また、配備が進んでいない理由は何かお尋ねします。

【教育長】

  • 学校図書館への新聞の配備率は、文部科学省の調査に合わせて隔年で調査しており、
    平成24年度は、小学校が19.3%、中学校が2.9%
    平成26年度は、小学校が18.2%、中学校が1.5% となっている。
    配備が進んでいない理由は、学校に配当した予算を活用して、新聞を学校図書館に配備することについては、学校の判断に委ねており、職員室等にある新聞を授業で活用できることから、学校図書館への新聞配備が必要であると判断する学校が少なかったため。

 日々、社会で起きた多種多様なニュースを伝える新聞は生きた素材です。社会に関心を持つきっかけになるだけでなく、出来事に対して自分の考えを深めたり、文章の要点を読み解く力を養うためにも有効です。
2009年に新聞協会が行ったアンケート調査で、学校司書の有無と図書館への新聞配備の関係では、総じて司書がいる方が新聞配備が進んでいるとの報告がありましたが、
⑥学校司書の現状についてお尋ねします。1996(H8)年に1名からスタートした学校司書ですが、全校に配置されたのかどうかお尋ねします。また、2014年度の学校司書の人数と配置状況をお尋ねします

【教育長】

  • 離島を除く、全小中学校に配置。
  • 平成26年度から36人の学校司書を小学校に配置し、1人が小学校2校を担当し、次年度には別の2校を担当することによって、離島を除くすべての小学校に1年おきに配置する体制としている。中学校には、小学校に配置している学校司書を、毎年1校あたり12日間派遣することにより支援を行う体制としている。

⑦学校図書館の充実には、図書館資料と人材の双方の充実が必要です。福岡市の学校司書の勤務時間と処遇についてお知らせください

【教育長】

  • 1日4時間、年間150日勤務の非常勤嘱託員で、平成26年度の日額報酬は、6,540円である。
    ※平成27年度日額報酬6,550円

⑧文科省は、第4次学校図書館整備5ヵ年計画に加え、学校司書の配置に関しては、1週当たり30時間の職員をおおむね2校に1名程度配置することが可能な規模を措置していると言っていますが、これによれば、1校の勤務時間は週15時間となります。仮に、小学校で150日2校を1名で担当した場合は、1週当たり1校に何時間の勤務となりますか

【教育長】

  • 小学校は、1週当たり1校に約8時間半の勤務である。
    ※150日×4時間÷2校÷35週≒8.57時間/週

 学校司書勤務日数の150日から中学校への勤務や研修日などを除けば、実際の小学校勤務日数は120日余りとなり、週約7時間程度で文科省が示している15時間の半分にも満たないことになります。学校司書の仕事内容は、蔵書管理をはじめ、図書の補修、環境整備としての学校図書館の飾りつけ、配架の見直し、図書購入のための選書、日常の貸し出し業務や、ブックトークなど子どもとの関わり、教員が必要とする資料の準備・収集など、大変多岐に渡っています。司書教諭との打ち合わせ、連携を言われますが、その時間さえ取れないのが実情です。年間を通した計画を立てたとしても、1校に週1〜2日、1日4時間ではとてもできる状況にはありません。また、中学校では年間12日間、1月に1日4時間の配置です。生徒に関わるどころか書架の整理で終わる、何もできないと悩んでおられます。新任の学校司書には、同じ区内の司書仲間が、時間外に実務指導やフォローをしていると聞いています。学校司書は1人で、小中4校の蔵書の把握をして、廃棄・購入計画を立てなければなりません。時間さえあれば子どもたちや先生方の要望にもっと応えたいとも言われています。
 図書整備に時間がかかり、環境整備や子どもと関わる時間が足りず、図書館便りやお勧め本の掲示物「ポップ」の作成などは、持ち帰り仕事になることが多いそうです。このように、
1日4時間の勤務時間では、充実した学校司書の役目は果たせないのではないかと考えますが、ご所見をお伺いします。また、司書の声を聴く場はあるのかお尋ねします

【教育長】

  • 学校図書館教育については、学校長の方針のもと、司書教諭と学校司書、図書館ボランティアと連携し、組織的な取組を行うことで、学校司書の役割を果たすことができる。
  • 学校司書研修会を年間4回実施し、学校図書館活性化のための実践事例を共有し、学校司書との情報交換などを行っている。

2014年度より、小学校は1年ごとの配置、中学校は月1回の配置としましたが、その配置方針はどうだったのか、学校司書からの意見、要望にはどんな内容が上がっているのか、お尋ねします

【教育長】

  • 離島を除く全ての小学校に2年に1度の配置、中学校に毎年1校あたり12日間の支援を行う。
  • 学校司書からの意見、要望の内容
    ・異なる校種や他校の実践を知ることができて、参考になった。
    ・学校図書館支援センターができて、相談できるところができてよかった。
    ・配置替えの際に、同じ区やエリアで配置替えをしてほしい。
    ・環境整備や教材研究のために、勤務日数や勤務時間を増やしてほしい。

 ある司書の方は、「新学期は図書館内の謎解きから始まる」と言われていました。段ボールに入ったこの本は何?ラベルの無い本があるけどどうして?学校で違う図書館のパソコンソフトの使い方は?そして、山積みされた新刊の整理や痛んだ本の修繕、分類番号順に並んでいない書架の整理などなど…。棚を入れるなどして図書館を機能的にしたいけど、1年間の配置なのでためらってしまう。1年間の配置では、継続的な図書館運営ができないと言われています。
「学校教育における読書活動の推進」に係る過去3年間の予算額と決算額及び県委託金の決算額についてお尋ねします

【教育長】

  • 平成24年度 予算額は 130万円、決算額は 39万円余
       平成25年度 予算額は 119万円余、決算額は 71万円余
       平成26年度 予算額は  80万円余、決算額は 59万円余 となっている。
  • 決算額のうち県の委託金は
       平成24年度 39万円余
       平成25年度 63万円余 となっている。

2015年度の予算額とその内容についてお尋ねします

【教育長】

  • 平成27年度の予算額は、18万円余である。
  • 内容は、「小学生読書リーダー活動推進事業」であり、具体的には「小学生読書リーダー養成講座」を行っている。

2014年度より県委託金がなくなり、市の単独事業のみとなりましたが、大きく予算が減額し、80万円余の予算に対して決算額が59万円余と21万円もの不用額が生じています。さらに、2015年度の予算額の減額などその理由をお尋ねします

【教育長】

  • 平成26年度の予算額については、平成23年度の事業開始から実施校及び読書リーダー認定数が年々増加しており事業が定着してきたことから、平成25年度事業実績をもとに、市単独事業として予算措置したもの。
  • 平成26年度の不用額については、読書リーダー養成講座の講師謝礼の見直しや読書リーダー認定バッジ作成に係る契約落差などによるもの。
  • 平成27年度の予算額の減額については、読書リーダーの活用に役立ててもらうよう、事業当初から実施していた読書リーダーが在籍する学校への読み聞かせ用図書の配本を廃止したことなどによるもの。
    当事業については、事業開始から4年が経過し、下級生への読み聞かせやおすすめの本の紹介など、学校図書館の蔵書を活用した読書リーダーの活発な読書活動が定着してきているところである。

今年度までの読書リーダー認定者数と学校数は何校ですか、また、「小学生読書リーダー活動推進事業」の成果についてお知らせください

【教育長】

  • 認定者数と学校数は
      平成23年度  63人 学校数21校
      平成24年度  56人 学校数16校
      平成25年度 140人 学校数34校
      平成26年度 138人 学校数35校
      平成27年度 195人 学校数51校となっている。
  • 読書リーダーに認定された児童が、読み聞かせや環境づくりなどの活動を行い、他の児童の読書に対する興味・関心が深まったという成果が上がっている。読書量の向上にもつながっている。

⑮読書リーダーが学校でいきいきと活動できるためには、学校司書の指導や連携が必要なことは言うまでもありません。配置の拡充については、再三求めてきましたが、これまでの学校司書の配置拡充の経緯についてお知らせください

【教育長】

  • 平成8年度に学校司書の配置を開始し、平成18年度から小学校に配置、平成21年度から中学校ブロックに配置、平成25年度は離島を除くこれまで未配置の学校に配置と拡充を行った。
  • 平成26年度から、1年ごとに配置替えを行う体制を整え、それを継続している。

⑯学校司書の配置方針を幾度となく変更しながら、18年間かけて離島を除く全ての学校に配置したことになります。しかし、学校司書の人数はその都度若干名ずつ増えてはいますが、学校図書館の整備充実への熱が感じられません。配置計画が場当たり的と言わざるを得ないこの間の配置状況です。2014年6月に学校図書館法が一部改正され、2015年4月施行されました。これにより「学校司書」が初めて法的に位置づけられ、自治体に配置促進の努力義務が課されましたが、本市は、どのように努力されたのかお示しください

【教育長】

  • 平成26年度に学校司書を6人増員して36人とし、離島を除くすべての小学校に2年に1度の計画的な配置体制を開始し、平成27年度はその配置体制を継続している。

昨年9月に学校図書館支援センターを開設し、本格実施に向けた準備がすすめられ、本年4月から本格的に取り組まれているということですが、学校図書館支援センターの役割はどんなものかお尋ねします

【教育長】

  • 学校図書館支援センターは、各小中学校が学校図書館を効果的に運営できるように、「情報」「ひと」「もの」を3つの柱として学校図書館への支援を行うものである。
  • 具体的な支援内容は、
    「情報」情報の収集、ホームページ等による情報提供
    「ひと」学校図書館の運営に関する相談業務、学校からの要請等に応じての訪問による助言
    「もの」学習支援用図書の貸出 等となっている。

学校の窓口としては、誰が対応するのかお尋ねします

【教育長】

  • 学校長の指示を受けた司書教諭が中心となり、対応している。

⑲学校図書館支援用図書の貸し出しには、司書教諭や学校司書との連携が必要となります。しかし、窓口である司書教諭は学級担任との兼務であるため、学校司書の役目がこれまで以上に重要になると思われます。しかし、半数の学校では司書が不在、配置校の学校司書にとっては任務が増えることで、到底1日4時間の勤務では無理が生じることは明白です。この間の議会質問や予算・決算の分科会でも、学力とのかかわりや貸出冊数、読書量の増など学校司書の配置効果は、何度も確認されているにもかかわらず、積極的な配置計画は一向に進んでいません。また、不登校やいじめ防止に関わる「心の居場所」としても、常駐する学校司書がいる図書室は、安心な居場所として大変有効です。全ての学校に2年に1度の計画的配置体制ということですが、わかりやすく言うと市内36人の学校司書が、1人で小学校2校を担当し、次年度には別の2校を担当する。中学校では、小学校に配置されている学校司書が、毎年1校当たり12日間、2校に派遣され支援を行うという配置体制ですが、まだ十分な配置とは言えません。離島を含む全校配置を目指して、学校司書の更なる配置の拡充と、勤務の在り方の見直しを強く求めるものですが、ご所見をお伺いします

【教育長】

  • 昨年度から開始した現在の学校司書配置体制の成果を生かし、学校長の方針のもと、司書教諭と学校司書、学校図書館ボランティアが連携し、組織的に読書活動を推進していく。

 

2.すべての女性が活躍できる社会の実現について

 「世界経済フォーラム」が各国内の政治・経済・教育・保健分野での男女間の格差を数値化しランク付けしているジェンダー・ギャップ指数は、ジェンダー平等の達成度をもっとも正確に反映すると言われています。2014年10月に「世界経済フォーラム」が発表した日本のジェンダー・ギャップ指数は0.658と142か国中104位でした。つまり政治・経済・教育・健康の各分野を総合して、日本女性は男性が手にしているものの65.8%しか得ていないということです。今は男女平等が当然のように見えていますが、実は日本の男女格差は、他の国々と比べてとても大きく、世界の先進国では最も低い方に属している男女不平等社会と言わざるを得ません。
 そこで、「福岡市男女共同参画を推進する条例」に基づき、「市の政策・方針決定過程への女性の参画」状況についてお尋ねします。
本市職員において、職階別職員数と、そのうちの女性の人数及び比率をお知らせください。あわせて、課長級以上の管理職総数、及び係長級以上の役職者総数に占める女性の割合と、管理職については政令都市中の順位を、それぞれ過去3年間でお知らせください

【総務企画局】

  • 本市における職位別職員数,女性人数及び比率(全職種)
     局長級:   43名(内,女性職員数    5名)(女性比率11.6%)
     部長級:  151名(内,女性職員数   13名)(女性比率 8.6%)
     課長級:  580名(内,女性職員数   67名)(女性比率11.6%)
     係長級:2,016名(内,女性職員数  380名)(女性比率18.8%)
     係 員:6,856名(内,女性職員数2,439名)(女性比率35.6%)
    (注1)平成27年5月1日現在
  • 本市における課長級以上の管理職総数及び係長級以上の役職総数に占める男女割合(全職種)
       平成25年度:課長級以上総数   766名(女性比率 8.5%)
              係長級以上総数 2,835名(女性比率14.0%)
       平成26年度:課長級以上総数   784名(女性比率10.2%)
              係長級以上総数 2,849名(女性比率15.7%)
       平成27年度:課長級以上総数   774名(女性比率11.0%)
              係長級以上総数 2,790名(女性比率16.7%)
                               (注1)各年度5月1日現在
  • 政令指定都市における管理職の女性比率順位(教諭を除く全職種)
     平成26年度:13位  平成25年度:16位  平成24年度:16位
    (注1)『地方公共団体における男女共同参画社会の形成又は女性に関する施策の推進状況』
    (内閣府発行)より
    (注2)各年度の5月1日現在(福岡市)と4月1日現在(他の政令市)にて比較

②係長級以上に占める女性職員が本年度16.7%ということですから、本市が示した2016年度までの目標値17%達成の期待が持てます。この3年間、係長級以上の役付職員に占める女性比率が確実に伸びています。どういう努力をされたのかお示しください

【総務企画局】

  • 女性職員の役付職員への登用については,地方公務員法に定める平等取扱いの原則及び成績主義の原則を前提とし,男女の別なく職員の能力,意欲に応じた登用を進めているところである。
  • 女性職員が役付職員として相応しい経験を積み,能力の向上を図ることができるよう職域の拡大や研修機会の確保に努めるとともに,その能力を十分に発揮できるよう,働きやすい職場環境づくりを進めている。

本市職員における、ワーク・ライフ・バランスの取り組みは、この間、どのように進められてきたのかお尋ねします

【総務企画局】

  • 仕事と育児の両立支援として,平成15年7月に制定された「次世代育成支援対策推進法」に基づき特定事業主行動計画を策定するほか,福岡市職員の人材育成・活性化プランにおける女性職員のチャレンジ支援や全ての職員が働きやすい環境づくりを進める中で,ワーク・ライフ・バランスの実現に向けた取組みを推進している。

④次世代育成支援対策推進法に基づき策定している第2期特定事業主行動計画において、数値目標を16日以上としている本市職員の年次有給休暇の年間平均取得日数の過去3年間の推移についてお知らせください。あわせて、数値目標を90%以上としている、出産・育児支援休暇を取得した男性職員の割合、数値目標を5%としている、男性職員の育児休業取得数とその割合をそれぞれ過去3年間でお示しください

【総務企画局】

  • 本市職員の年次有給休暇の年間平均取得日数(過去3年間)
               平成24年度 14.9日
               平成25年度 14.8日
               平成26年度 14.7日
  • 出産・育児支援休暇を取得した男性職員の割合(過去3年間)
               平成24年度 95.2%
               平成25年度 89.8%
               平成26年度 91.5%
  • 男性職員の育児休業取得者数とその割合(過去3年間)
               平成24年度  7人  2.1%
               平成25年度  9人  2.3%
               平成26年度 16人  4.2%

昨年度の男性職員の育児休業取得者割合が、一気に16人4.2%と大きく伸びていますが、休業日数はどれくらいでしょうか? 1カ月未満、1カ月以上1年未満、1年以上の人数でお示しください。また、最短、最長日数についてもお知らせください

【総務企画局】

  • 平成26年度の男性職員の育児休業取得者
    休業日数 1か月未満   2人
    1か月以上1年未満    7人
    1年以上         7人
    最短日数         9日
    最長日数   1年4か月29日

男性職員の育児休業取得と職員の年次休暇の取得については、数値目標が達成できていないようですが、達成できていない背景をどう捉えているのかお尋ねします

【総務企画局】

  • 数値目標が達成できていない背景として様々な要因が考えられるが,平成24年度に本市職員を対象に実施した両立支援に関するアンケートにおいて,男性職員の育児休業と職員の年次有給休暇の取得が進んでいない要因として
    ・収入が減ることによる家計への影響が大きいこと
    ・病気や急な用事のために,年休を残しておく必要があること等といった回答がなされたところ。

 本年度より2019年度まで5年間を計画期間とする、第3期特定事業主行動計画がスタートしています。第3期計画では目標数値を、男性職員の育児休業、部分休業、育児短時間勤務のいずれかを取得した職員の割合を15%以上とし、出産・育児支援休暇取得率を90%から95%以上としています。今まで以上のとりくみを期待します。
⑦市職員における過去3年間の時間外勤務の実態について、年間平均時間数でお示しください。

【総務企画局】

  • 本市職員の年間平均時間外勤務時間数(選挙や災害対応等を除く)(過去3年間)
               平成24年度 132時間
               平成25年度 136時間
               平成26年度 127時間

 これはあくまでも全職員の平均時間であり、局・区や職務内容によっては時間外勤務が常態化しているところもあります。職業生活と子育てをはじめとする家庭生活の両立支援の観点から、時間外勤務が常態化している局・区のチェックを行うなど、さらなる時間外勤務の縮減に取り組んでいただくことを要望しておきます。
⑧福岡市職員の人材育成・活性化プランにおいて、女性職員の活躍推進の一方策として、メンター制度を導入されましたが、その成果についてお尋ねします

【総務企画局】

  • 平成26年度までの3年間で51人が制度を活用している。
  • メンティ,メンター双方にとって,モチベーションの向上やネットワークが広がるなど,有意義な研修となっており,女性職員の活躍支援につながっている。

 昨年9月「福岡市職員の人材育成・活性化プラン」を改定し、女性職員の活躍推進の取組として「メンター制度を本格実施」としました。身近な職場でのロールモデルとしても、メンター制度の活用をさらに進めていただくことを期待します。
 また、プランでは係長級以上に占める女性の割合を2018年度までに20%以上にすることを目指すとしていますが、国は、社会のあらゆる分野において、 2020年までに指導的地位に占める女性の割合を少なくとも30%程度にするという政府 目標202030を掲げています。本市も国に後れを取ることなく、積極的な推進体制が求められます。
本市において、ワーク・ライフ・バランスの推進を今後どのように進めていくのかお尋ねします。さらに、性別に関わりなく、個人がその個性と能力を十分に発揮できる市役所の職場づくりをめざすために、女性管理職への計画的・意識的な人材育成や登用など、市役所における男女共同参画の推進をどのように進めていかれるのかお尋ねします

【総務企画局】

  • 女性職員の活躍推進を更に進めていくためには,長時間労働を前提としない執務姿勢の徹底など,市役所全体で男女を問わず働き方を変えることが必要である。
  • 男女を問わず全ての職員がワーク・ライフ・バランスを実現することが重要であり,人材育成・活性化プランに掲げる女性登用の20%以上という目標を達成するため,女性職員のキャリア形成を図りながら,女性職員の活躍推進に取り組んでいく。

 さて、福岡市役所では、正規職員の他に多くの非常勤職員が公共サービスを担っています。そこで
⑩本市の非常勤職員の人数についてお尋ねします。嘱託員の人数と、男女比についてお知らせください

【総務企画局】

  • 嘱託員の人数と男女比率
      総計 2,677人  うち男性1,020人(38%) 女性1,657人(62%)
                     ※H27.5.1時点。
                     ※週の勤務時間が25時間以上のみ。

⑪嘱託員の多くは専門職種でありながら、勤務に期間の定めがある有期雇用のため、非正規職員の能力と経験を生かし切れていないし、制度がそうなっていません。荒川区は、東京23区の中で、非正規公務員が最も多い区ですが、非常勤職員の報酬を職責に応じて多層化し、非正規公務員を戦力と捉え、基幹化しています。報酬や勤務条件の充実を図ることなどにより、非正規公務員の能力を生かす方策を進めることこそが、今後の公共サービスの充実確保に直結すると考えますが、ご所見をお伺いします

【総務企画局】

  • 福岡市の嘱託員の報酬は,職務内容や職責に応じて定めており,その水準は他都市や民間と比べ遜色はないものと考えている。
  • 今後とも,専門的な知識や経験を有する嘱託員の能力が十分発揮できるよう,勤務条件や職場環境の整備に努めていく。

 次に、民間企業で働く女性への支援や実態についてお尋ねします。
⑫民間企業では、「残業できないなら正社員にできない」と正規化も難しい現状があります。ワーク・ライフ・バランスの取り組みについては、企業に対しても、次世代育成支援のための行動計画策定を進めることが求められていますが、この間、一般事業主行動計画策定の促進のためにどのような事業が取り組まれたのか、その実績についてお知らせください

【市民局】

  • 一般事業主行動計画は,平成22年度までは従業員が300人を超える企業にのみ策定が義務
    付けられていた。
  • 従業員が300人以下の企業に対し,平成19年度から22年度までの4年間,次世代育成支援行動計画策定セミナーを開催し,計91社が参加

福岡市の民間企業で働く女性が活躍するために、2014年度にどのような取り組みをされたのかお尋ねします

【市民局】

  • 女性活躍推進担当課長を新設するとともに,
     男女共同参画推進センター「アミカス」にて再就職支援やスキルアップ講座など開催。
  • 新たな取組としては,
    ・テレワークの導入支援
    ・女性リーダー育成研修を企業向けに拡充
    ・創業を目指す女性への支援を強化

それらの取り組みの成果についてお尋ねします

【市民局】

  • 女性の就職支援セミナーでは,受講者72人のうち,21人の就職が決定
  • テレワーク導入支援により5社が導入を決定。
    導入した会社から「会社説明会でのテレワークへの反応が良好で,新卒の応募数が例年以
    上に増加した」との評価
  • 女性リーダー育成研修では,90人が受講
    受講者から「普段会社では体験できない考え方を学べた」,企業から「今後も参加させたい」との評価
  • 「おうち起業」等創業に関心のある女性を対象に,セミナーや展示会を行う「アミカスHAPPY女子マーケット」を実施。スタートアップカフェでも,展示会を5回開催

 女性の起業支援や就労支援、女性活躍を進める企業の支援など様々な事業を展開されてきましたが、依然として女性の労働環境には厳しい現状があります。
⑮横浜市男女共同参画推進協会では、就職氷河期に卒業した人たちが、いま35歳から44歳の壮年期を迎えており、その年代の非正規で働くシングル女性は半数が貧困状態にあるという研究結果を受け、2015年3月、「非正規で働く35〜44歳のシングル女性のニーズ・課題に関するヒアリング調査」を実施し、報告書を発行しました。ここから浮かび上がってきた雇用・経済不安や親の介護、孤立などの課題、ニーズをさらにつぶさに拾い上げ、地域に合った社会的支援を考えるために、「非正規シングル女性の社会的支援に向けたニーズ調査」を横浜市、大阪市、福岡市を中心に10月3日から25日まで行っています。非正規で働くシングル女性の仕事や生活の状況、直面している課題等を明らかにして、課題解決に結びつく事業を展開していくとしています。
 また、北九州市は、地方創生事業として、国や県と連携しながら女性の就業やキャリアアップ、再就職、子育て等の支援をワンストップで取り組むとして、「女性活躍推進センター」の設置計画をすすめていると聞き及んでいます。
福岡市においても、昨年度「女性労働実態調査」が行われていますが、どのような調査だったのかお尋ねします

【市民局】

  • 目的:従業員の就業実態や「女性の活躍推進」,「ワーク・ライフ・バランスの推進」の現状と課題を把握するため
  • 対象:従業員5名以上の市内民間事業所2000社,正規従業員男女各4000人,パートタイム労働者2000人

その調査の結果、どのような現状と課題が浮かび上がってきたのかお尋ねします

【市民局】
(現状)

  • 働く女性の活躍の現状
    役員を除く女性の管理職の割合は,課長相当職以上 10.0%
    女性の活躍推進に取組を進めている事業所は48.0%
  • ワーク・ライフ・バランスの現状
    週労働時間が60時間以上の人の割合は,男女合わせて11.4%
    ワーク・ライフ・バランスについて知っていると答えた事業所は58.8%。
  • パートタイム労働者の現状
    パートタイム労働を選んだ理由は,
    「仕事と家事・育児・介護・看護を両立させたいから」が47.0%
        「勤務時間・勤務日数が短いから」が35.6%
        「自分の都合が良い日や時間に働きたいから」が32.2% の順。

(課題)

  • 女性管理職の割合からみて,職場における女性の活躍がまだまだ十分でない
  • 長時間労働の削減など働き方の見直しや,出産等により離職することなく働き続けることができる環境づくりをさらに促進する必要がある,など

福岡市内の労働者のうち、正規労働者と非正規労働者の割合についてお尋ねします。また、正規・非正規の雇用形態ごとの男女の割合、あわせて、男女ごとの正規・非正規労働者の割合についてもお尋ねします

【経済観光文化局】

  • 平成24年の就業構造基本調査(総務省)によると,正規労働者が58.0%,非正規労働者が42.0%
    である。
  • 次に,雇用形態別の男女の割合については,下表のとおり。

            男 性    女 性  
    正規労働者   64.7%  35.3%
    非正規労働者  33.7%  66.3%

  • また,男女別の正規・非正規労働者の割合については,下表のとおり。

           正規労働者   非正規労働者
    男 性    72.7%   27.3%
    女 性    42.4%   57.6%

 社会・経済状況の変化により、非正規労働者が急速に増えて4割を超え、働く女性の57.6%が非正規労働者ということが分かりました。総務省の労働力調査によると、男女雇用機会均等法が成立した1985年は、女性の就業者数2,304万人、女性の非正規率32%でしたが、2014年は女性の非正規率は55%と激増しています。雇用の間口は広がったが、その多くは非正規雇用というのが実態です。非正規労働者の約66%余りが女性であるということですが、
非正規で働く女性の平均所得はいくらになっていますか

【経済観光文化局】

  • 平成26年の賃金構造基本統計調査(厚生労働省)によると,
    平成26年6月分の正社員・正職員以外の女性の賃金月額は,179,200円である。

⑲所定内給与額が17万9,200円、そこから家賃・食費含む生活費を差し引けば、決してゆとりある暮らしにはなり得ません。今、「女性の貧困」が社会問題となっていますが、本年8月28日、女性管理職の割合に数値目標の設定などを義務付ける「女性活躍推進法」が成立しました。しかし、女性の半数以上を占める非正規労働者の差別撤廃やジェンダー平等の視点がないことから、経済社会の持続的な発展のための労働力確保として、女性の活躍が求められているといっても過言ではありません。一方で、9月11日、「労働者派遣法」が改悪され,3年で働く人を入れ替えれば派遣労働者をずっと使えるようになりました。派遣労働者が抱える雇用の不安定さと処遇を改善するものではなく、労働者保護が乏しい企業のための規制緩和であると指摘せざるを得ません。活躍が期待される女性正社員。その一方で、非正規雇用の拡大と雇用の不安定化で、働き続けることにすら不安を抱く非正規の女性たち。その二つが同時進行するのです。働く女性の半数以上を占める非正規女性の活躍は蚊帳の外になっており、「女女格差」と呼ばれる女性間の分断をもたらすことは必至です。一方,長い間守られてきた男性も、正規職が崩壊し、男性の非正規雇用が増加していることも大変深刻です。非正規雇用労働者に対する手立てを講じる必要があると思いますが、ご所見をお伺いします

【経済観光文化局】

  • いわゆる「不本意非正規雇用労働者」に対して,正社員への就職支援を行うことは,大変重要
    であると認識している。
  • このため,各区の「就労相談窓口」に,キャリア・コンサルタントの資格を有する相談員を配置するとともに,求人開拓員による正規雇用の職の開拓や,セミナーの開催など,正社員就職に向けた支援を実施している。

⑳「女性活躍推進法」は,労働者が301人以上の企業に女性の管理職の割合などの現状分析と数値目標の設定と公表を義務付けており、国や都道府県、市町村にも同様の義務を課しています。16項目の附帯決議には、民間企業で働く非正規女性労働者の待遇改善や、公務員の臨時・非常勤職員においても、勤務の内容に応じた任用・勤務条件が確保できるよう配慮することなど、盛り込まれています。本市が昨年実施した福岡市女性労働実態調査は非正規女性に限定した調査ではなく、質問項目含めて不十分と考えます。
最後に市長にお尋ねします。
全ての働く女性が活躍できる社会実現に向けて、市長の決意をお伺いし、私の質問を終わります

【市長】

全ての女性がチャレンジし、活躍できる社会をめざしてしっかりととりくんでいく。