■2015年12月議会
反対討論「図書館事業の指定管理制度」
意見「福岡市立急患診療所条例の一部を改正する条例案」
私は、社民・市政クラブ福岡市議団を代表して、本議会に提案されました諸議案のうち、議案第289号及び議案第290号に反対して、討論を行います。
議案第289号は、福岡市総合図書館の図書館事業は教育委員会が行うものの、施設の管理、運営及び企画事業を3団体により構成される共同事業体、よかたい図書館共同事業体に指定管理者として指定するものです。また、議案第290号は、東図書館に係る管理を図書の選定、購入等については教育委員会が行うとしたものの、図書館に関する業務を紀伊國屋書店と日比谷花壇で構成する東図書館管理運営共同企業体に指定管理者として指定するものです。
そもそも、福岡市図書館の運営方法の検討については、行財政改革プランに基づき、厳しい財政状況の中で、開館時間の延長など市民サービスの充実を図るとしながら経費節減を目的に手法を抜本的に見直すとしたものです。
図書館は、社会教育法の精神に基づき、学術、文化の発展への寄与とともに、本を中心として市民の知的好奇心を刺激するもので、社会全体の知的財産の根幹をなすものであることから、我が会派は公が担うべきものであると主張し、指定管理者制度の導入には反対をしてきました。
現在、図書館運営のかなめとも言えるレファレンスや図書の選定、調査研究、資料の組織化など専門的スキルを必要とする図書司書の全員が非常勤で、1週間27.5時間、1日5.5時間の枠で福岡市の図書館運営を支えています。言いかえれば、福岡市の図書館サービスは非常勤の図書司書の方々に支えられてきたと言っても過言ではありません。
総合図書館においては、2016年4月1日から開館時間を1時間延長するとしています。しかし、延長するのは1階のカードの登録や予約本の貸し出し、返却、簡易な案内、相談などポピュラー部門だけです。しかも、読書相談員は現行の8人体制のままで、勤務時間も週27.5時間のまま、勤務のシフト体制をずらして対応するとしています。1日9時間の開館時間を、勤務時間を延長せず10時間のシフトに組みかえることは相談員の重なりの時間が薄くなり、窓口の多忙化を招くのではないかと危惧します。開館時間に見合う勤務時間の見直しをこそ検討すべきです。
また、レファレンスや調査相談など2階部門には入ることができても読書相談員はおらず、サービスは受けられないことから、通常業務に加え2階の利用できないサービスの説明など、ポピュラー部門は予想以上の負担と混乱が生じる可能性があります。
これからの図書館のあり方についてで出された市民アンケートによると、市民が図書館を利用する理由で一番多いのは、自宅に近いです。それに対し、利用しない理由の1番は、距離が遠いとなっていることからもわかるように、図書館サービスの向上で望まれるのは身近な図書館です。市民サービスとしての開館時間の延長は、一部に限ってのサービスの提供にとどまっていることも指摘しておきます。
次に、指定管理料の問題です。
非常勤含め直接雇用には消費税はかかりません。しかし、指定管理など間接雇用には人件費に消費税がかかります。東図書館指定管理料の上限額は3,233万5,000円で、そのうち人件費は3,034万8,000円、うち人件費に係る消費税は224万8,000円です。今後の消費税問題を考えれば、直接雇用だと人件費として有効に生かせる財源が間接雇用では消費税で消えるということになります。
図書館は利益を生まない市民サービスであるからこそ教育委員会の責任で設置し、直接管理運営されるべきと考えます。利益を生むことを目的とする民間事業者が実施するということは、当然ミッションも違ってきます。図書館本来の役割が担保できるのか疑問であることから、本議案に反対します。
次に、議案第248号、福岡市立急患診療所条例の一部を改正する条例案について、反対はしませんが、意見を述べます。
本議案は、小児科一次救急医療体制を継続して確保するため、小児科を急患診療センター、東急患診療所及び南急患診療所へ集約するとしながら、博多、城南、西の各急患診療所の小児科を廃止するものです。2012年2月、委託先である福岡市医師会より、小児科の臨床経験豊富な内科医の減少や高齢化により急患診療所への出務医師の確保が困難となっていることから、博多、城南、西急患診療所の小児科標榜廃止について検討していただきたいとの要望があり、小児科救急医療体制検討会で1年4カ月にわたって検討した結果であるとのことです。しかし、西部地域においては、小児科二次救急医療であるこども病院が東区に移転して1年余り、西部地域は小児科救急の空白地になるのではないかと不安の声も多く出ており、これは子育て支援策に逆行するものです。医師会にも努力をしていただきながら、小児科医不足は深刻な問題であることから、本議案に反対はいたしません。しかし、国や県はもちろんのこと、本市としても小児科医の確保に努力していただき、一刻も早く博多、城南、西急患診療所に小児科の一次救急医療体制を復活していただくことを強く要望して、社民・市政クラブ福岡市議団の討論を終わります。
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