2018年6月議会 賛成討論 (2018年6月22日)

 私は、福岡市民クラブを代表して、本議会に提案されました諸議案のうち、議案第113号「福岡市障がいを理由とする差別をなくし障がいのある人もない人も共に生きるまちづくり条例案」に賛成し、討論を行います。
 「障害者差別解消法」が施行して2年が経過しました。本条例の制定にあたっては、福岡市においても条例を、と熱い思いを持つ障がい種別を超えた41の障がい関連団体が一堂に集まり、2013年、福岡市に「条例をつくる会」を発足し、条例の制定に向けて学習会やアンケート調査を行い、福岡市に働きかけを行ってきました。福岡市は2016年7月に保健福祉審議会へ諮問、8月以降、障がい者当事者などの関係者18名で構成する条例検討会議を、当初の予定を超えて8回開催し、条例原案を取りまとめていただきました。その後、原案をもとに、2017年9月から、保健福祉審議会の障がい者保健福祉専門分科会を当初の予定を超えて開催して丁寧な議論を行い、12月に市議会第2委員会に報告を行った後、パブコメ、タウンミーティングを実施、改めて保健福祉審議会で議論の結果、答申を受け、条例案の策定に至りました。障がい者差別解消条例の制定は、我が会派も要望してきた経緯から、「つくる会」の皆さまのご労苦に感謝し、市行政に対して高く評価するものです。

 しかし、本条例案の議論にあたって、①実体規定に「何人も」を規定することと、②事業者の合理的配慮の提供について、努力義務から法的義務にすることの2点について、条例検討会議で意見の一致が得られず、その後の保健福祉審議会において修正を加え、第6条に基本理念を置き「何人も、障がいを理由とする差別により障がい者の権利利益を侵害してはならない事」と規定し、市民も含めて差別が容認されない事を明示しました。しかし、事業者の合理的配慮の提供については、今後の検討課題となっています。
 5月15日の保健福祉審議会総会において、「条例をつくる会」の世話人代表の中原委員より、「福岡市も大変時間をかけて色々なプロセスを経て、小さな意見まで吸い上げていただきここまで来れました。関係の皆さまに感謝を申し上げる所でございます。今後条例が出来ても我々当事者がこの内容を踏まえて勉強していかなければならない。そうしなければ特に啓発について、市民に伝わっていかないということを常に我々も肝に銘じてそういう進め方をしているところでございます。この条例が1日でも早く施行され、差別禁止について理解を生んでいくということが我々の願いでございます」とご挨拶をされました。
 先ずは、本条例が福岡市の隅々にまで周知、理解され、合理的配慮の概念の浸透に努力し、3年後の見直しに当たっては、当事者団体の意見も取り入れながら、残された検討課題の実現に向けて、より実効性のある条例へと進化していかなければなりません。

 本条例案は、2019年1月1日施行となっています。
 実効性ある条例とするために、施策の実施に当たっては、以下の事項について、市長が適切な対応を図られるよう強く要望しておきます。

①福岡市障がい者差別解消推進会議は、差別の解消に向けて、市民の方々に理解を深めるために大変重要であることから、原則公開とすること。
これまでも多くの事案が相談で解決していると聞きます。そのためにも相談体制の強化は重要です。

②福岡市障がい者差別解消推進会議が相談体制の中核的役割を担うよう位置づけ、下部組織としての部会に相談部会を新設し、各相談機関から上がる差別事例への対応実績を集約、分析し、蓄積していくための機能も合わせ持つ、最も重要な機関とすること。そのために必要な人的体制の整備を支援すること。

③福岡市障がい者差別解消審査会の専門委員の人選にあたっては、少なくとも1人は障がい当事者のうちから任命すること。

④障がい者基幹相談支援センターが担うべき役割を明確にするとともに、同センターで働く職員に対する研修を十分行う事。

⑤福岡市身体障害者福祉協会に設置されている福岡市障がい者110番については、専門性を確保し、専従相談員の複数配置、弁護士とのさらなる連携を図ること。

⑥本条例の施行までの間に、障がい当事者及びその家族を含む市民、並びに事業者を対象とした啓発活動を十分に行うとともに、条例の施行後においても啓発活動を集中的に実施すること。そのためにも、イラストなどで分かりやすいパンフレットやバス・地下鉄での掲示、店頭やタクシーに貼れるステッカーなどを早急に作成すること。明石市では、共生のまちづくりを推進していくために、商業者など民間の事業者や自治会、サークルなどの民間団体に対しても、必要な合理的配慮を提供するためにかかる費用を助成しています。合理的配慮の提供が絵に描いた餅に終わらないよう、

⑦本条例に基づく施策を講じるために必要な予算の確保に努めること。

 以上、7点について強く求めておきます。

 議案第113号「福岡市障がいを理由とする差別をなくし障がいのある人もない人も共に生きるまちづくり条例案」が、全議員の賛同を得て可決することを心から願い、条例の運用に当たっての要望を述べて私の賛成討論を終わります。