2018年12月議会 一般質問 (2018年12月12日)

 「医療的ケア児保育モデル事業について」、「ICTの活用による遠隔教育を活かした、在宅児童・生徒の教育保障について」、「西都小学校の分離新設について」、「災害時の福祉避難所について」以上4点について質問しました。

1. 医療的ケア児保育モデル事業について

 重症心身障がいは、知能指数と運動機能から心身障がいの程度を25群に分類する大島分類により定義されています。しかし、痰の吸引、経管栄養など、医療的ケアは必要だが、知的障がいも身体障がいもなく障がい認定に入らない子どもたちは、保育園・幼稚園にも単独入園できず、療育センター等にも受け入れて貰えない、いわゆる受け皿のないグレーゾーンの子どもたちです。私は、昨年の6月議会において、医療的ケア児が何らの支援も受けられずに制度のはざまにいること、そのことによって、保護者が就労の権利を奪われていることを指摘し、早急に医療的ケア児保育の実施を求めました。

①そして、本年6月より、医療的ケアが必要な子どもに対する保育のモデル事業がスタートしましたが、これに至るまでの経緯と目的についてお尋ねします

【こども未来局長】

 平成28年度の児童福祉法の改正や地方自治体による配慮を求めた国の通知,平成29年度の国による医療的ケア児保育支援モデル事業の開始などを踏まえ,国のモデル事業を活用し,モデル的に医療的ケア児の保育所での受け入れを行い,課題等の把握・整理を行い,今後のあり方を検討するため,市立千代保育所で事業を実施している。

モデル事業を開始した当初の施設見学件数と入所申込者数、そして現在入所を受け入れている人数をそれぞれお尋ねします

【こども未来局長】

 施設見学者数:6名、申込者数:3名、 入所を受け入れた数:2名(平成30年11月末現在)

③医療的ケア児保育モデル事業は、友達と遊びたいと願う本人はもとより、就労を希望する保護者にも大きな期待感を持たせています。しかし、当初は、希望者3人に対し1名の受入のみでした。入所を認めなかった理由は何ですか

【こども未来局長】

 2名の児童については,観察保育や医療的ケア検討会議での協議結果を踏まえ,集団の中で安全に保育を実施するためには,常時1対1での対応が必要であり,受け入れが困難と判断した。

その後、受け入れ困難とされた子ども・就労希望をする保護者に対しては、どう対応しているのですか

【こども未来局長】

 2名の児童のうち1名については,児童の状況に変化があったとして再度の受け入れの申込があり,あらためて受入について検討した結果,受入可能と判断した。これにより,本年8月から千代保育所に入所している。
 残りの1名についても,現在,児童の状況に変化があったとして再度の受け入れの申込がなされており,今後,受入の可否について判断することとしている。

⑤看護師を保育所に配置することで医療的ケア児の受入が可能になる、と多くの人が期待を寄せていましたが、現実はそう簡単なことではなかったということです。モデル事業を行って半年が過ぎましたが、この間、出てきた課題はどういうものがありますか? また、その課題に対しては、どう対応されてきたのか、あるいは今後どう対応されるのでしょうか。

【こども未来局長】

 ケアの種類が同じ児童であっても,心身の発育状況等により給食や午睡等の保育の中で気を付けなければならない内容が異なるため,その内容を的確に把握する必要があることや,主治医と看護師が連携したサポート体制の構築など様々な課題があり,今後,これらの課題を1つ1つ解決しながら,医療的ケア児の保育所受け入れについて検討をすすめていく。

⑥子どもの成長を見ながら入所可能な時期まで待つのは親子にとって大変過酷です。何を改善すればこの子どもの受け入れが可能になるのかなど、事業の工夫をしていくのがモデル事業の役目ではないかと考えますが、所見を伺います

【こども未来局長】

 事業実施により把握した課題等を踏まえ,医療的ケア児に対する保育の提供体制を検討していく。

⑦日常的な保育室での保育の安全性が重要なことは言うまでもありません。障がい児保育では保育士の加配はありますが、医ケア児には適用されないのでしょうか。看護師と共に保育士の配置も必要と考えますが、所見をお尋ねします。

【こども未来局長】

 医療的ケア児の受け入れに当たり,児童に障がいがある場合は,その程度に応じて,保育士の加配を行うこととしている。

⑧昨年の6月議会において医療的ケア児の実態調査を求めましたが、本年8月から本市独自で、医療的ケア児に関する保育ニーズ調査を行っています。現時点での回答数に併せ、主な介助者の就労状況として、現在就労している人、就労予定、預け先があれば就労したい人はそれぞれ何人ですか

【答弁骨子】こども未来局
  有効回答数:64件(平成30年9月14日時点)
  就労している:16人,就労予定:3人,預け先があれば就労したい:24人

 来年度4月1日利用開始のための第1次入所申し込みが12月5日に締め切られました。医療的ケア児の保育を望む保護者は、博多区の千代保育所でモデル事業として行われている医療的ケア児の保育はどうなるのか、預かり人数が増えるのか、全市的に他の区でもモデル事業もしくは本格実施として展開されるのか、「医療的ケアが必要」と明記して入所申し込みをした方がいいのか、入所の可能性があるのなら今から求職活動をしないと間に合わないのではないか等々、大きな不安を抱えています。あるお母さんは、ニーズがあることを知ってもらいたいという思いから、「医療的ケアが必要」と記載して入園の申し込みをしたが、「看護師がいないから預かれない。モデル事業も希望保育所でできるかどうかわからない」と言われて書類を返されたそうです。私たちは、入園の申し込みすらできないのか、とひどく悲しんでおられています。
 アンケートに答えた64人中、43人と全体の67%が就労意向を示しています。特に「預け先があれば、就労したい」人が37. 5%と最も多くなっていることから、医療的ケア児保育のニーズは高いと考えます。今後、医療的ケア児の保育がどこで始まるのか、申し込みはいつになるのかなど、1日でも早い情報提供をされるよう強く意見を申し述べておきます。

⑨次に、教育長に特別支援学校を除く小中学校における医療的ケア児の現状についてお尋ねします。現在、小中学校に医ケアを必要とする児童は何人在籍していますか。また、そのケアは誰が行っていますか

【教育長】

 文部科学省が実施した「平成29年度公立の小・中学校における医療的ケアに関する調査」の際に本市の状況を調査した結果,日常的に学校において医療的ケアが必要で,本人が行っているケースを除いた児童生徒の人数は1人であった。当該児童のケアは,保護者が実施している。

医療的ケアを必要とする児童で、特別支援学校ではなく、地域の小中学校で学びたいという児童は何人いますか?平成31年度の入学予定者を含めてお答えください

【教育長】

 発達教育センターが行う就学相談会で把握している人数は,新入生を含めて2人である。

医療的ケア児が、地域の小中学校を選択した場合、看護師の配置は可能かどうかお尋ねします

【教育長】

 医療的ケアを必要とする児童生徒の教育機会の場の拡充を図り、保護者の負担を軽減していくことは重要な課題と考えており、小中学校での受け入れ体制について検討していく。

 福岡市障がい者差別解消条例が2019年1月1日から施行されます。教育における合理的配慮の観点からも、看護師と併せて支援員の配置も強く要望しておきます。

⑫医療的ケア児は、年々増えているにもかかわらず、障がい児保育の枠にもはまらず、医療的ケアができないことで保育園では保育困難とされ、保育対象児から外されてきました。しかし、2016年度の児童福祉法の改正や地方自治体による配慮を求めた国の通知、国による医療的ケア児保育支援モデル事業の開始などを踏まえて、福岡市においても本年度よりモデル事業がスタートしました。事業の開始当初、受け入れが困難とされた子どもの中には、私見ですが、障がい児保育で行う加配保育士の配置をすれば可能ではないのかと思えるケースもありました。先ほど、医療的ケア児受け入れにあたり、児童に障がいがある場合はその程度に応じて保育士の加配を行うこととしている、とご答弁されましたが、実施には至りませんでした。それは、福岡市の障がい児保育そのものが、「集団保育が可能」であり、加配保育士の対応はマンツーマンではなく、あくまで集団に加配されるもの、という福岡市の障がい児保育制度が大きな壁となっているからです。
 これまでの福岡市の障がい児保育においても、「集団保育が可能」ということが前提となっていることから、マンツーマン対応が必要な障がい程度の重い子どもへの保育の提供は成されてきませんでした。
 福岡市の障がい児保育制度は前回の見直しから15年が経過しています。この間、障がい児・者を取り巻く社会、法整備は着々と進んでいます。合理的配慮が求められる昨今において、医療的ケア児の保育を進めるにあたっても、「集団保育の不可」を物差しにした障がい児保育制度は見直しの時期に来ている、早急に見直すべきであると強く申し上げておきます

 医療的ケア児の多くは早産児であることから、大なり小なり発達に遅れが出ても不思議ではありません。今回、モデル事業で保育が可能となったのは、その極わずかの子どもです。この間、「障がい児や医療的ケア児の保護者は、働く権利がないのですか」と、怒りで涙ながらに訴え続けた保護者、特にお母さん方、「僕も友だちと一緒に保育園で遊びたい」と、兄が通う保育園の園庭で泣きながら訴える医療的ケア児。これは毎朝繰り返される光景です。この声に、早急に応えていかなければなりません。

 福岡市における医療的ケ児保育を、今後、どのように進めていこうと考えているのか、ご所見をお伺いします

【こども未来局長】

 医療的ケア児の保育ニーズが把握できたことから,モデル事業を通じて把握できた課題を整理しながら,専門家の意見も伺い,医療的ケア児への安全な保育の提供について検討を進める。

2. ICTの活用による遠隔教育を活かした、在宅児童・生徒の教育保障について

①病気・経済的理由等ではなく、年間30日以上欠席した不登校児童・生徒は何人ですか。小中学校ごとに過去3年間でお示しください

【教育長】

  • 平成27年度 小129人 中767人 (896人)
  • 平成28年度 小148人 中838人 (986人)
  • 平成29年度 小162人 中639人 (801人)

②玄界・小呂を除く全中学校ブロックへの不登校対応教員の配置に伴い、中学校内に適応指導教室いわゆるステップルームが全中学校に設置されました。また、えがお館、教育センター等に、はまかぜ・まつかぜ、すまいるなどのステップルームもありますが、そこに通えていない児童・生徒がいます。その中には、フリースクールに通っている児童・生徒もいると聞きますが、平成29年度は何か所のフリースクールに何人の児童・生徒が通っていたのか、お知らせください

【教育長】

  • 平成29年度 16か所 小学生4人,中学生41人

③現行の制度では、フリースクールに通っても学校に通ったことにはなりませんが、フリースクールに通っている児童・生徒の出席日数の取り扱いはどうなるのでしょうか。また、卒業証書の取り扱いはどうなっているのかお尋ねします

【教育長】

 平成28年に文部科学省が示した「民間施設についてのガイドライン」に沿って,児童生徒がフリースクールにおいて,適切な相談・指導を受けていると学校長が判断できれば,フリースクールに通っている日数を出席扱いとしており,卒業証書は在籍校の校長が授与している。

④学校の役割を担っている民間のフリースクール施設との連携で、不登校の子どもの在り方を支援する、教育機会確保法が2017年2月に施行されましたが、法の制定に至る背景、法の目的、内容について概要の説明を求めます

【教育長】

  • 法の制定にいたる背景は,平成27年度において,不登校児童生徒のうち90日以上欠席した者が,全国で約7万2千人に達しており,こうした長期に不登校となっている児童生徒が行う学校以外の場での学習等に対する支援を行い,その社会的自立や社会参加を目指す必要があるとされたため。
  • 目的は,不登校児童生徒に対する教育機会の確保,夜間等において授業を行う学校における就学機会の提供等を総合的に推進することである。
  • 主な内容は,国や地方公共団体は,不登校児童生徒に対する学校における取組への支援,学習支援を行う教育施設の整備,学校以外の場における学習活動等を行う不登校児童生徒に対する支援などに努めるものである。

 教育機会確保法には2つのキーワードがあります。「休んでもよい」ということ。そして「学校以外の場の重要性」を認めたことです。このキーワードを活かすことが、子どもたちを取り巻く環境を変えられるのではないかと考えます。福岡市でも、昨年度フリースクールに通った児童生徒は45人とのことですが、不登校児童・生徒数や、ステップルームの現状からみると、フリースクールの活用は少ないのではないかと思います。

フリースクールとの連携を図るべきと考えますが、ご所見をお伺いします

【教育長】

  • 不登校児童生徒の学校以外の学習の場となっているフリースクールと連携することは大切であると考えている。
  • 教育委員会は,定期的にフリースクールのスタッフと意見交換会を開催し,学校との連携の状況や児童生徒の支援方法等について情報を共有している。
  • 各学校において,担任や不登校対応教員等が,児童生徒が通うフリースクールの担当者と,継続して出席状況や児童生徒の様子などについて連絡を取り合うなどの連携した支援を行っている。
  • 今後も引き続き,教育委員会及び学校とフリースクールとの連携した取り組みを進めていく。

⑥不登校児童・生徒の保護者は、ステップルームに通えず、自宅にこもりがちな子どもに対して不安を抱きがちです。その不安が、子どもをますます追い込んでいくことも懸念されます。しかし、多くの保護者はフリースクールがどこにあるのかなどの情報をほとんど持っていません。不登校相談の窓口や学校などで、フリースクールの情報提供を行うべきだと考えますが、ご所見を伺います

【教育長】

  • 不登校児童生徒や保護者に寄り添った支援を行いながら,学校以外の学習の場としてフリースクールの情報を提供することは,大切なことであると考えている。
  • 保護者から学校にフリースクールを利用したいという相談があった場合は,生徒や保護者に必要な情報を提供している。
  • 不登校対応教員を対象に,フリースクールの団体の代表者を講師とした研修を行い,不登校対応教員を通して,保護者や児童生徒にフリースクールの情報が提供することができるようにしている。
  • 今後も児童生徒や保護者の状況に応じて,フリースクールに関する必要な情報を提供していく。

 「不登校親の会」等に出会い、そこで情報を得られる保護者もおられますが、学校からの情報はまだ少ないように感じます。教職員の中には、何とか学校に来て欲しいと、学校に来ることが目標で、フリースクールを紹介することは責任を放棄したと受け取られるのではないかと、危惧している先生もおられます。しかし、子どもたちが、今はどこにいることが最も安心できる場所なのか、「何を学びたいのか」「どう学びたいのか」が選択できる社会にしていくためにも、多くの方に知ってもらうべきだと考えています。そのためには、教職員のフリースクールに対する理解と連携が更に必要だと考えます。

⑦不登校児童・生徒の中には、学校やフリースクールなどへも通学できない子どもがいます。また、極度のアレルギー疾患や、入院するまでもないが疾病による自宅療養の子ども、いわゆる病気療養児や障がい児など、様々な事情により、通学して教育を受ける事が困難な児童生徒がいます。
 10月末現在、福岡市には病欠で30日以上学校へ通えていない児童・生徒は何人いますか

【教育長】

  • 平成30年10月末現在で,小学校97名,中学校226名

⑧この子どもたちの学習保障はどうしているのですか

【教育長】

  • 学校では,担任や不登校対応教員等が,保護者と密に連絡をとりあい,家庭訪問等により,学習プリントや問題集などを利用した個別指導を行っている。

 担任や不登校対応教員は、校内の学習活動や生徒指導に加えての訪問教育となるので、タイムリーな学習支援が難しく、児童・生徒にとっても学習意欲の継続などの課題があるのではないかと推測します。そのような中、

⑨ 本年9月20日、個々の児童・生徒への学習保障として、ICTを活用した同時双方向型で行う遠隔教育の推進に向けた施策方針の策定について、文科省から通知がありました。その目的と授業形態など内容について、尋ねます

【教育長】

  • 目的は,様々な事情により通学が困難な児童生徒の学習機会を確保することである。
  • 内容は一人一人に応じた学習機会を提供する観点から,不登校児童生徒に対する自宅等での遠隔教育や,疾病による療養などのため,相当の期間学校を欠席すると認められる児童生徒に対する自宅・病院等での遠隔教育を行うことが示されている。

ICTを活用した遠隔教育はこれまで福岡市でも行われていますが、どこでどのように活用されているのかお尋ねします

【教育長】

  • 学校によっては,テレビ会議システムを活用して,市内や海外の学校とつなぎ,生徒同士の合同の授業や専門家による遠隔授業に取り組んでいる学校がある。
  • 住吉中学校では,韓国の中学生と,互いの国の文化を紹介し合う合同授業を実施。
  • 能古中学校では,ニュージーランド在住の外国人講師が生徒に対して,英語の授業を実施。

 これまでの遠隔教育は、合同授業型や教師支援型が主でしたが、今回の通知は、先ほどのご答弁にもありましたように、不登校や病気療養児等、個々の児童生徒への遠隔教育の対応に対して、出席と認めるというものです。9月20日、文科省通知「小・中学校等における病気療養児に対する同時双方向型授業配信を行った場合の指導要録上の出欠の取扱い等について」には、「小・中学校等では、病院や自宅等で療養中の病気療養児に対する学習支援として同時双方向型授業配信やそれを通じた他の児童生徒との交流を行っている場合があり、それにより病気療養児の教育機会の確保や学習意欲の維持・向上、学習や学校生活に関する不安感が解消されることによる円滑な復学につながるなどの効果が見られている」と明記しています。

不登校や病気療養児など、様々な事情により通学して教育を受ける事が困難な児童・生徒に、教育の機会均等を保障するためには、特別支援学校の訪問教育のように、人的な教員であることが最良の支援教育と考えますが、一方で、同時双方向型授業は、クラスの中でリアルタイムで共に学び合っている感覚を得られるメリットがあります。
 11月13日の朝日新聞に、「闘病中の小1女児、教室に分身ロボット みんなと遊べた」という記事が掲載されました。大学病院の院内学級での授業ですが、高さ21.5センチでマイクとスピーカー、カメラを内蔵した人型ロボットが、周りの映像と音声を送信し、離れた場所でもタブレットなどで見られます。タブレットのマイクをオンにすれば、声をロボット側に届けることも可能です。これは、ほんの一例にすぎません。
 本人の意思確認のもと、ICTを効果的に活用した同時双方向型の個別支援の遠隔教育を進めるべきだと考えますが、ご所見を伺います

【教育長】

  • 不登校児童生徒や病気療養児などの,教育の機会を確保するために,ICT等を活用した個別支援を充実させていくことは重要であると認識している。
  • 平成29年度は,児童生徒や保護者の意向を確認の上,学校での授業をタブレットを活用して提供するなどの支援を行った。
  • 今後も児童生徒の状況を確認しながら,適切に支援を進めていく。

⑫教育機会確保法には、様々な理由により中学校を終了できなかった人や、形式的な卒業はしたが、学び直しを求める人たちに対しての「夜間中学」の設置についても言及しています。不登校や病気療養児などの児童・生徒も含め、全ての子どもに教育の機会均等を保障するために、福岡市教育委員会として、今後どのような教育施策を行おうとしているのか、教育長のご所見をお伺いします

【教育長】

  • 義務教育の段階における,全ての子どもたちが,安心して教育を受けることができるようにすることは大変重要であると認識している。
  • これまで福岡市では,不登校や病気療養児など,学校に来ることができない児童生徒に対しては,教員や専門家が直接支援することが大切であると考え,不登校対応教員やスクールカウンセラー,スクールソーシャルワーカーの配置を拡充してきた。
  • なお,夜間中学の設置については,設置に係る正確なニーズを把握するために,まずは夜間中学に関する認知度を上げることが必要であることから,広報に努めているところである。
  • 今後も,心理,福祉の専門スタッフと教員の連携を強化し,「チーム学校」を推進していくことで,福岡市の全ての子どもたちの教育機会の確保に努めていく。

3.西都小学校の分離新設について

①福岡市西部地域の新たな拠点づくりとして、九州大学移転に伴うまちづくりが進み、学研都市周辺の人口が急増したことから、周船寺小学校の遠距離通学と玄洋小学校の過大規模の状態を解消するため,周船寺小学校と玄洋小学校の通学区域の一部を分離して2017年4月、西都小学校が開校しました。課題を抱えていた周船寺小学校,玄洋小学校は、西都小学校が開校した2017年度に何人,何学級でスタートしたのか,また,前年度と比べてどのくらいの児童数・学級数の減となったのか、お尋ねします

【教育長】

  • 周船寺小学校は,29年度の児童数は 640人,学級数は特別支援学級2学級を含め23学級で前年度と比べ193人,5学級減少
  • 玄洋小学校は,児童数は808人,学級数は特別支援学級2学級を含め26学級で前年度と比べ391人,12学級減少

周船寺小学校、玄洋小学校の児童数は、今後も課題が解決したと考えていいのか、1年後の2019年度,3年後の2021年度,5年後の2023年度における児童数の推計人数と学級数をお尋ねします

【教育長】

  • 周船寺小学校の今後の児童数,学級数の平成30年度の推計値は,特別支援学級は2学級として,
     2019年度は,約630人,22学級
     2021年度は,約620人,23学級
     2023年度は,約630人,22学級
  • 玄洋小学校の今後の児童数,学級数の推計値は,特別支援学級は3学級として,
     2019年度は,約830人,28学級
     2021年度は,約860人,29学級
     2023年度は,約830人,29学級

 周船寺小学校においては、児童数もほぼ落ち着いた状況であると考えていいかと思いますが、玄洋小学校については、再び大規模校化への兆しが見えます。

③西都小学校は、今後5年間で大幅な児童数の増加が推計され、開校わずか1年で分離新設の方向性が示されました。西都小学校の2019年度,2021年度,2023年度の児童数の推計人数と学級数をお知らせください

【教育長】

  • 西都小学校の今後の児童数,学級数の平成30年度の推計値は,特別支援学級は2学級として,
     2019年度は,約1,000人,34学級
     2021年度は,約1,220人,38学級
     2023年度は,約1,390人,42学級

④10月11日、新設小学校の候補地の選定結果が第2委員会に報告されましたが、選定結果と今後の方向性について、ご説明ください

【教育長】

  • 西都小学校の校区内または隣接地で,敷地面積等を確保できる可能性がある3箇所の用地について,関係者からの情報収集等を行うとともに,敷地面積や安全な通学路の確保,開校時期の視点から検討した結果,元岡中学校の東側の農地を新設小学校の候補地と選定したもの。
  • 今後は,用地取得に向けた関係者との具体的な協議を進め,2019年度以降,用地取得や通学区域の決定,校舎等の設計,建設工事を行い,2023年4月の開校に向け,取り組んで行く。

⑤候補地として挙げられた3か所は、いずれも西都小学校の校区内または隣接地となっていますが、分離新設に当たっては、そもそも西都小学校のみの分離を想定してすすめられたのか、お尋ねします

【教育長】

  • 西都小学校の児童数増加への対応として,基本的には西都小学校の分離新設を想定している。

⑥先ほど、周船寺小学校と玄洋小学校の今後の児童数についてお尋ねしましたが、周辺校区である今宿小学校、元岡小学校についても、2019年度,2021年度,2023年度の児童数の推計人数と学級数をお尋ねします。

【教育長】

  • 今宿小学校の今後の児童数,学級数の平成30年度の推計値は,特別支援学級は5学級として,
     2019年度は,約970人,34学級
     2021年度は,約1,080人,36学級
     2023年度は,約1,150人,40学級
  • 元岡小学校の今後の児童数,学級数の推計値は,特別支援学級は2学級として,
     2019年度は,約790人,26学級
     2021年度は,約750人,26学級
     2023年度は,約740人,24学級

⑦周辺校区である今宿小学校は現在も34学級という過大規模校です。児童数も4年間は横ばいを続けるものの、2023年度には40学級が推計されています。現在は、3,5年生の8教室をプレハブ教室で対応し、増築工事が行われているため、運動会は運動場が使えない状況です。運動会の学年種目を3種目から2種目に減らすなど、子どもたちの学習活動にも影響が出ています。また、元岡小学校と玄洋小学校は、26〜29学級の大規模校を推移していますが、新設校予定地が両校区に隣接していることもあり、長期的に見た場合のご意見や要望が各自治協議会から出される可能性があると考えます。
 10月25日、西部7校区会長会が開催され、教育委員会は西都小学校の分離・新設に当たって各自治協議会の会長さんから質問や要望を受けましたが、どのような内容だったのか、概要をお知らせください

【教育長】

  • 小学校の新設に伴い,通学区域をどのように決めていくのか,地元の意見の反映の仕組みなどについて質問があった。
  • また,西区西部地域では,西都小学校の他にも今宿小学校や元岡中学校,玄洋中学校の児童生徒数も増加することが見込まれるため,新設小学校の通学区域は,西都小校区のみではなく,周辺地域も含めて地域全体で検討する必要があるのではないかとの意見があった。

校区割の作業開始はいつから始めるのですか
 地域の合意なくして校区の再編は成し得ません。意思反映の仕組みづくりはどのように行い、どのようにすすめていかれるのか、お尋ねします

【教育長】

  • 新設小学校の通学区域については,地域や保護者の意見を聞きながら,2019年度に関係する校区の地域関係者や保護者等からなる通学区域協議会において,通学区域の案を取りまとめる予定。

⑨中学校の課題も視野に入れておかなければなりません。現状のままの中学校区割で行った場合、5年後の元岡中学校と玄洋中学校の生徒数と学級数の推計をお尋ねします

【教育長】

  • 平成30年度の推計値では,5年後の2023年度の生徒数,学級数は
    元岡中学校は,生徒数約1,120人,学級数は特別支援学級3学級を含め32学級
    玄洋中学校は,生徒数約880人,学級数は特別支援学級2学級を含め26学級
    と見込んでいる。

⑩2023年度の元岡中学校は32学級と過大規模校となります。玄洋中学校も26学級と徐々に増加していくことが予測されています。小学校の新設に併せて、中学校の新設も視野に入れた計画が必要だと考えますが、所見を伺います

【教育長】

  • 元岡中学校は,今後生徒数が増加し,長期にわたり過大規模校になることが見込まれる場合には,実施方針に基づき適切に対応していく。
  • 玄洋中学校は,今後6年間の推計では,特別支援学級も含めて24学級から26学級で推移するものと見込んでいるが,今後も生徒数の動向を注視していきたい。

⑪今後、西都校区や周船寺校区、元岡校区が一体となった、新たな大型区画整理事業が進められていくと聞き及んでいます。人口がますます増加していくことは火を見るよりも明らかです。西都小学校の分離・新設に当たっては、各町内ごとの新生児数・幼児数の把握も必要です。区画整理事業を含めたまちづくりの推移を住宅都市局と情報共有しながら、周辺校区も対象にした長期的な小学校の配置計画を立てるべきと考えますが、ご所見をお伺いします

【教育長】

  • 西区西部地域の今後も市街地整備に注視し,関係局との連携を密に図りながら,西都小学校及び周辺の小中学校の児童生徒数の将来推計を行い,教育環境の整備に努めていく。

4.災害時の福祉避難所について

 近年、地震や豪雨災害等による自然災害が多発しています。2016年4月の熊本地震、2017年7月には死者行方不明者42人となった福岡県と大分県を襲った九州北部豪雨、今年度においても6月18日に発生した大阪北部地震、6月28日から7月8日にかけて、西日本を中心に北海道や中部地方など全国的に広い範囲で記録された西日本豪雨災害は、河川の氾濫や洪水、土砂災害などで220人余りの命を奪いました。まだまだ復旧には時間がかかりそうです。その後も9月6日の北海道胆振(いぶり)北部地震など、いつどこで災害が起きてもおかしくない状況と言っても過言ではありません。
 地震や風水害など大規模な災害が発生した場合は、家屋の損壊やライフラインの寸断等により、多くの市民は自宅での生活は困難となり、指定避難所等に避難することが想定されます。そこで、

災害時における避難所には、一時避難所、収容避難所、福祉避難所等がありますが、現在、福岡市内にはそれぞれ何カ所あるのかお示しください

【市民局長】

  • 平成30年4月1日現在で,「一時避難所」は公民館を中心に193か所,「収容避難所」は小・中学校を中心に239か所を指定。
  • 通常の避難所での生活が困難な要配慮者を受け入れるための「福祉避難所」は,高齢者施設や障がい者施設など,98か所を指定。

避難の際、地域で最も配慮を要するのが要支援者です。避難行動要支援者名簿の登載人数はどのようになっているのかお尋ねします
 また、福祉避難所として市と協定を結んでいる施設の受け入れ可能人数は何人ですか。高齢者施設,障がい者施設,それぞれについてお答えください

【市民局長】

  • 避難行動要支援者名簿の登載人数は,平成30年度で,「全体名簿」が36,111人。
  • そのうち,本人の同意を得て自治協議会などの避難支援等関係者にお配りしている「同意者名簿」が15,105人。

【保健福祉局長】

  • 平成30年4月1日現在の受入可能人数は,
    高齢者施設は,1,531人
    障がい者施設は, 486人

 名簿登載者すべての方々が福祉避難所に行くべき人とは限りませんが、熊本地震の教訓では、福祉避難所として協定を結んだ施設が被災した例もあったことから、福祉避難所の指定を更に増やすことを要望しておきます。
高齢者や障がい者、乳幼児、妊産婦など、特に配慮を要する人たちの災害時における避難方法についてお示しください。加えて、福祉避難所へ移動するまでの行程についてもその手順をご説明ください

【市民局長】

  • まずは,最寄りの一時避難所又は収容避難所に避難し,身の安全を確保したうえで,避難生活において,どのような配慮を必要とする方なのかを把握し,トリアージを行う。
  • 食事や排せつ,移動等の一部に介助が必要な方や妊産婦及び乳幼児などの場合は,学校の教室や公民館の一室に設ける「福祉避難室」において,必要な生活支援を行う。
  • 食事や排せつ,移動が一人でできない方や,家族の付添がなく,常時介護が必要な方などの場合は,予め指定している「福祉避難所」の受入可能な人数等を把握し,マッチングを行ったうえで,移送することとなる。

特別支援学校の8カ所以外は福祉避難所の公開をしていませんが、その理由はなぜですか

【保健福祉局長】

  • 福祉避難所は,災害発生時に直ちに開設されるわけではなく,まずは公民館等の一時避難所に避難してもらい,福祉避難所としての受入れ態勢を確認した後,必要に応じて移ってもらうこととしている。
  • 福祉避難所としての協定締結施設自体の被災などによって,福祉避難所として機能することが困難となる状況も想定され,直接,当該施設に避難される方がいた場合,混乱も生じるおそれもあるため,事前にその場所を広く周知することは望ましくないと考えている。

⑤福岡市発達教育センターは、熊本地震の支援活動・教訓を踏まえ、「全ての支援学校は避難所の開設・運営等のノウハウを持っておくことが必要」として、本年3月に「福岡市立特別支援学校防災推進マニュアル」を作成し、学校独自の防災マニュアルを作成しています。先ほど、福祉避難所を公開していない理由の一つに、その施設が被災していないかどうかの確認、直接、福祉避難所に避難される方がいた場合,様々な混乱が生じるおそれもあるなど、多くの課題があげられました。災害はいつ何時に起こるかわかりません。要配慮者のスムーズな受け入れを図るためにも、福祉避難所としての受け入れについて、予め高齢者福祉施設や障がい者支援施設などと、平常時において福祉避難所等の設置運営に係る知識と事前の備えが必要ではないでしょうか。福岡市教育委員会マニュアルや熊本市のように「福祉避難所等の設置運営マニュアル」の策定をし、施設関係者や区役所職員、地域が共有すべきと考えますが、ご所見をうかがいます

【保健福祉局長】

  • 平成30年6月の福岡市地域防災計画の改定において,福祉避難所の充実・強化が図られ,福祉避難所の役割や対象者,担当部署による受入調整等が新たに明記された。
  • このため,災害が発生した際に,高齢者施設や障がい者施設等の福祉避難所においても受入調整が円滑に進むよう,今回の改定内容を踏まえた福祉避難所の設置運営マニュアルの整備を行い,関係機関等への周知を図る。

⑥本年7月6日の豪雨の際、西区のある校区では、特養の施設長の判断で、自らが各町内自治会長に連絡をして、民生委員や自治会長を介して、在宅の要介護4の方2名と家族を受け入れました。
 避難された方のお一人に話を聞くと,この校区の一時避難所は小学校の体育館に指定されていますが,体育館は2階にあるため,老老介護状態でほぼ寝たきりの夫を避難させるのは無理と不安に駆られたそうです。しかし,今回,特養から自宅まで迎えに来てくれたことから,無事に避難できましたと語っておられました。地域内の特養など高齢者福祉施設や障がい者支援施設の多くは、清掃活動や夏祭りなど、日ごろから地域との交流を深めています。日頃の良好な関係づくりが今回の連携につながったものと考えます。もちろん、その施設は福岡市と福祉避難所の協定を結んでいる施設ですが、今回,市が指定する一時避難所を介さず、施設と地域で直接的なやり取りを行い,対応をされたことは、今後の福祉避難所のあり方を再考するにあたり参考になるのではないかと考えますが,ご所見をお伺いします

【市民局長】

  • 福祉避難所への避難は,要配慮者が避難生活において,どのような配慮を必要とする方であるのかを把握するとともに,受入れ施設側の人員体制や被災状況等を踏まえた受入れ可能人数などを把握し,マッチングを行う必要があり,一定の時間を要する。
  • そのため,本人の身の安全の確保を第一に考え,最寄りの一時避難所や収容避難所に,一旦避難していただきたい。
  • 福祉避難所への移送が必要な要配慮者を速やかに避難させるためには,要配慮者の情報や,受入れ施設側の情報を迅速に把握し,移動手段の確保も含め,的確なマッチングを行う仕組みづくりが必要であることから,今後とも,他都市の事例も参考にしながら,関係局と連携し,研究していく。

 今回の質問は、福祉避難所について質問しましたが、一時避難所や収容避難所の在り方についても多くの課題を抱えています。 警察庁の「東北地方太平洋沖地震による死者の死因等について」(H23年3月11日〜H24年4月11日)のデータによると、東日本大震災の犠牲者の65.8%が60歳以上となっており、高齢になるに従ってその率は高くなっています。また、2013年4月22日の中日新聞では、障がい者の死亡率は健常者の2倍以上であったことを明らかにしています。熊本県のまとめによると、熊本地震では、被災のショック、過酷な避難生活等による体調不良などで関連死は直接死の約4倍にもなるなど、日本の避難所は「震災関連死」を生み出すとまで言われています。
 大規模災害のたびに報道される日本の避難所の光景は、床に毛布を敷いて大勢がひしめき合う体育館の様子です。避難所運営に関わる方々の懸命の努力には頭が下がりますが、日本の避難所の在り方は、プライバシーの確保の難しさや、寝返りも打てない居住空間の狭さなど個人の努力では解決できません。避難所の環境について、国際基準と言われる「最低限の基準」を定めた「スフィア基準」が日本でも徐々に知られるようになりました。2年前、大地震が起きたイタリアの避難所では、発生から72時間以内に家族ごとにテントやベッドが支給され、衛生的なトイレも整備されたということです。南海トラフ巨大地震の被害が想定される徳島県は、2017年、避難所運営マニュアルにスフィア基準を盛り込みました。段ボールを組み立てて作る簡易ベッドや持ち運びが可能な簡易トイレもその一つです。地震大国日本こそ、予め多くの準備をしておくことが大事であり、そのような避難所であれば、多くの要支援者にとっても命と健康を守れる避難所となるのではないかと考えます。要支援者も安心して避難できる福祉避難所の在り方とともに、検討していただくことを要望して質問を終わります。